「浅絳山水図」は、江戸時代の日本で制作された作品で、青木夙夜（あおきしゅくや）によって描かれ、村瀨栲亭（むらせこうてい）による銘文が添えられた絵巻物です。この作品は、絹に墨と色彩を使って描かれた掛け軸です。

青木夙夜は、江戸時代中期から後期にかけて活躍した画家で、彼の作品は風景や山水を得意としました。この作品「浅絳山水図」もその代表作の一つで、自然の美しさと風景の豊かな表現が特徴です。風景の中には山や川、木々が描かれており、緻密な筆さばきで構成された風景が見事に表現されています。

村瀨栲亭による銘文は、作品の背景や制作の背景についての情報を提供しています。また、江戸時代の日本における文人の感性や視点を示すものとしても注目されます。

この作品は、青木夙夜の風景画の優れた技量と、村瀨栲亭の銘文によって作品の詳細や制作の文脈が伝えられています。江戸時代の美術や文化における風景画の重要な作品の一つとして評価されています。

この掛け軸は淡い色彩で、中国の北宋の壮大な山水画の伝統を彷彿とさせる洗練された風景が特徴です。観客は、右下の角から曲がりくねった小道をたどり、盛り上がった岩の背後に配置された茅葺き屋根の四つの小屋へと導かれます。岩は豊かな落葉樹を支えており、季節は秋です。右上の山間から始まる湧き出るような流れが、手前の左側にある池に注いでいます。さらに中景には、前面の堂々とした岩の低木に部分的に隠された、もう一つの三軒の茅葺き屋根の集落があります。掛け軸の上半分は、雲の帯として絹のネガティブなスペースで表現された一連の山頂の描写に捧げられています。遠景の薄い青の淡い水彩画で描かれた遠くの山々が、中央の隆起する主な山々を補完し、空間の奥行きをさらに示唆しています。夙夜の風景は印象的ですが、一般的に淡いパレットと薄めの墨での形態の微妙なモデリングによって、圧迫感がありません。夙夜は有名な南画家である池大雅（1723年〜1776年）に師事しており、18世紀に中国の文人画家の山水画のスタイルを日本に伝える印刷された絵画マニュアルを参照した可能性があります。

右上の隅には、村瀨栲亭（1744年〜1819年）による銘文があり、画家を青木夙夜として特定し、絵画を1799年の夏に制作されたものとして日付けを入れています。銘文には、詩人の山中での隠遁生活を望むという、中国と日本の文人画家の間で非常に人気のあるテーマを表現した七言絶句が含まれています。

画像出所：メトロポリタン美術館