この作品は、インカ文化に関連する「小ラクダ科供物像」であり、制作年は1400年から1535年の間にさかのぼります。この作品の制作者はインカの芸術家です。金、銀、銅の合金でできたこの供物像は、高さ約5.1センチ、幅約3.8センチ、奥行約1.3センチの寸法を持っています。

この供物像は金属細工の彫刻として分類されており、銀、金、銅の合金で作られています。この作品は、ラクダ科の動物を模したものであり、宗教的な儀式や祭りに使用される可能性があります。その小さなサイズにもかかわらず、この金属製の供物像はインカ文化の芸術的技巧と宗教的実践を示す貴重な作品です。このような金属製品は、宗教的な儀式や特別な行事で使用され、重要な象徴的な役割を果たしていたと考えられています。

このオスのラクダ科の像は、おそらくラマを表しており、頭部は一体で、体は中空です。多くの類似したラクダ科の像が打ち出し法で作られていますが、X線撮影によって、この像が失われたワックス法で鋳造されたことが確認されています（画像3を参照）。この鋳造は2つの異なる段階で行われ、異なる金属効果を得るために行われました。最初の段階では、ラマの頭部（画像4を参照）、首、胴体（画像5を参照）、そして尾（画像6を参照）、および脚が、銀-銅-金合金で鋳造されました。この最初の段階の一環として、胴体のワックス形状が陶器の芯の周囲にモデル化されました。この陶器の芯は今、ラクダ科の体の中に空洞を形成しています（視覚的には、胸部に銀のメタルプラグで覆われており、空間は見えませんが、X線で確認できます）。

2番目の鋳造段階では、より金に富んだ銀メタルで、頭部と体および尾の上部または後部の要素が作られました。この2番目の鋳造作業は、固化した銀豊かな部分に直接鋳造することで行われました。

X線撮影により、銀メタルの大部分にわたる広範な気孔が明らかになりました。これは、鋳造時に溶融金属に閉じ込められたガスによるものであり、金に富む領域には気孔がないことが対照されます。この違いから、2番目の鋳造段階が、最初の段階での気孔に関連する欠陥や弱点を修正するために行われた可能性があります。2つの金属要素のXRF分析によると、銀豊かな金属は銀約72％、銅約20％、金約7％を含んでおり、より金に富んだ領域には銀約50％、金約42％、銅約8％が含まれています。

鋳造後、金属加工職人はトレースや彫刻道具を使用して、内耳、目、鼻孔、口、足の詳細を形作りました。

このオブジェクトは、アンデス地域の民族にとって神聖な存在である「ワカ」と考えられる可能性があります。ワカとは、アンデスの人々の間で用いられるケチュア語やアイマラ語の言葉で、人工的な人間や動物の形をしたものだけでなく、岩や山、鉱石源などの形を取ることがあります（Cruz 2009）。アンデス地域では、野生および家畜化された2種類のラクダ科を含むラクダ科動物は、その毛と肉が高く評価されています（Moore 2016）。インカ帝国にとって、人間の祖先とラクダ科動物は、パカリクタンボの洞窟から存在すると考えられています。アンデス地域では、皮や骨が様々な製品に加工されるラクダ科動物は、キャラバンの一部として商品を運搬する責任がありました。

ラクダ科の像は、インカの儀式である「カパック・ウチャ」の一部として考えられることがあります。これはケチュア語で「王の義務」という意味であり、16世紀のスペインの年代記作家によると（Cieza de León 1959、190-193; Diez de Betzanos 1996、46、132）、クスコでの年次の祝祭に関与し、来る年の予言が述べられ、ラマ、トウモロコシ、子供などが犠牲にされることがありました。これは太陽に捧げるためのものであったり、サパ・インカの死を含む特定の王室のイベントのために行われることもありました。この儀式では、若者がクスコで儀式的に結婚し、エクアドルのイスラ・デ・ラ・プラタやチリのセロ・エル・プロモなど、北と南に遠くまで行進し、そこで犠牲にされ、衣類を着せられ、金属やSpondylus spp.の貝の像、陶器の容器、他の貝や金属製品とともに埋葬されることがありました。カパック・ウチャの動機は特定の王室の出来事を記念し、インカ帝国の拡大を示すためでした。ただし、このような像は他の意図で埋蔵されていた可能性もあり、人の埋葬なしで行われた場合もあります。1つの例では、クスコのウスヌ（祭壇）に関連する石と一列に並んだ4つのラクダ科の金属と貝の像が、聖なる空間の奉納の一部としてハウカイパタ（クスコのメイン広場）で発見されました（Farrington and Raffino 1996、73）。ラクダ科の像には特別な装飾が施されることがあり、ティティカカ湖地域の2つの像に見られるように、金のアップリケとシンナバーで飾られたテキスタイルブランケットの取り付け（AMNH B/1618）や、動物の毛皮の質感を表現する高度に段ボール化した表面（AMNH B/1619）などがあります。これらの装飾や像のデザインの固有の側面は、冶金工が儀式的な作業を区別する方法を示しています。現在、これらの像の生産地に関する考古学的な証拠はほとんどありませんが、スペインの年代記作家はクスコを指摘しています。多くのインカのラクダ科の像は、高さが1974.271.36のようなものが多いですが、（前述の2つのAMNHの像のように）例外もあり、高さが23〜24センチの大きなものもあります。ラクダ科の像の高さのグループ分けは、いくつかの点でインカの人間擬人化の像のそれと比較できますが、三分割ではなく二分割のグループ分けを示しているようです（McEwan 2015, 282、注15を参照）。スポンジラスの像では、ラクダ科の像の高さはおおよそ2から7センチの範囲であり、その範囲全体で明確なグループ分けはありません。

画像出所：メトロポリタン美術館