【三代目沢村宗十郎のくまの順礼十作、実は平重盛 The Actor Sawamura Sōjūrō III as the Kumano Pilgrim Jissaku, actually Taira no Shigemori】日本‐江戸時代‐勝川春章

【三代目沢村宗十郎のくまの順礼十作、実は平重盛 The Actor Sawamura Sōjūrō III as the Kumano Pilgrim Jissaku, actually Taira no Shigemori】日本‐江戸時代‐勝川春章

この作品は、江戸時代後期の1785年(天明5年)に勝川春章によって制作された木版画の三枚続物(三枚続きのうち左の1枚)です。題材は「三代目沢村宗十郎のくまの順礼十作、実は平重盛」とされています。

この作品は、浮世絵の「錦絵」として知られ、和紙に墨や色彩を使って制作されています。三枚続物の一部として制作されており、他の二枚の版画と組み合わせて一つの大作として鑑賞されることが想定されています。

この作品のテーマは、三代目沢村宗十郎がくまの順礼十作を演じることで、実際には平重盛の物語が描かれています。浮世絵はしばしば歌舞伎や時代劇の登場人物や場面を描写し、この作品も当時の舞台芸術の一場面を捉えています。

勝川春章は、江戸時代の優れた浮世絵師の一人であり、彼の作品は独特の技術と美しさで知られています。この作品もその当時の優れた浮世絵の一例であり、歌舞伎や時代劇の興奮とドラマを豊かな色彩や細部にこだわった表現で描き出しています。

この浮世絵には情報が提供されていませんが、役者は袖の着物にある家紋から確実に三代目沢村宗十郎(1753年–1801年)と特定できます。その家紋は、袖の中にある「い」の字を円で囲んだもの(丸にいの字)です。宗十郎は江戸と上方の両方で人気があり、和事(わごと)と呼ばれる穏やかな役柄で優れていました。

役者の笠(すげかさ)には「西国」という文字が刻まれています。これは西国三十三所と呼ばれる、関西地方にある33の観音像を巡る仏教寺院巡礼のことを指します。しかし、後の当時の演劇プログラムの確認から、宗十郎が熊野の神社を訪れた巡礼者として演じたことが明らかになります。笠に隠れている他の文字は、「同行名人」と読める部分があります。通常の「同行二人」(旅を共にする2人)という言葉をもじったもので、「弘法大師や仏陀でさえ、困難な巡礼の途中でも私たちと共にいる」という意味が含まれています。

この浮世絵は、偉大な武士・平重盛を変装した巡礼者として、彼の巡礼杖が通常の杖刀(しこみづえ)で、内部には長さのある金属の刃を隠していることを想像させます。着物のモチーフは「吊る猿」で、京都の八坂庚申堂などの寺社に吊るされる、カラフルな球形のお守りを指しています。

この版画は、1785年に中村座で行われた「雪矯竹振袖源氏」の顔見世(かおみせ)公演を記念する三枚続物の一部でした。当時の演劇プログラムには、京都の祇園神社の江間堂(しんまりどう)で軍事計画を立てる三人の巡礼者の場面が描かれています。この三枚続物の中央の版画は、中山小十郎六世が長兵衛(ちょうべえ)役を演じ、実際は長田太郎景宗(ボストン美術館蔵品番号21.6065を参照)であることを示しています。もし右の版画が見つかれば、三代目市川八百蔵が鎌倉巡礼の太郎七(タロウシチ)役を演じ、実際は悪源太よしひらであることが明らかになるでしょう。

画像出所:メトロポリタン美術館

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