「エジプトへ逃避中のヤシの木の奇跡」は、およそ1490年から1510年頃にスペインで制作された作品です。この作品は、スペインの文化を反映しており、ウォールナット、ジェッソ、絵の具、金箔を使用しています。作品の寸法は、高さ126.4センチメートル、幅92.7センチメートル、奥行き26.7センチメートルで、重さは49.9キログラムです。比較的大きなサイズであり、存在感のある彫刻作品となっています。
この作品は、聖書の物語である「エジプトへの逃避中のヤシの木の奇跡」を描いています。この物語では、聖家族がエジプトへ逃れる際、荒れ果てた砂漠で疲れ果てたときに、聖母マリアがヤシの木の下で休息し、その木が奇跡的に水を与えたという出来事が描かれています。
彫刻作品は、緻密な彫刻技術によって、ヤシの木や聖家族の姿、砂漠の風景などが細部まで表現されています。また、絵の具と金箔による豊かな装飾が施されており、作品全体に高貴な雰囲気を与えています。この作品は、スペインの芸術作品の中で非常に重要な位置を占めており、その豊かな装飾や聖書の物語を通じて、宗教的な意味合いや美術史的な価値が示されています。
この彫刻は、おそらく祭壇の後ろに飾られたレタブル(altarの後ろの装飾)からのもので、イエスがヤシの木に命じて曲がるようにし、聖家族がその実を食べるようにするという場面を描いています。この場面は、新約聖書外典に基づいており、イエスの生涯に関するゴスペルには記されていないエピソードです。この構図は、1476年頃にマルティン・ションガウアーによって作られた銅版画から派生しています。
画像出所:メトロポリタン美術館
コメント
トラックバックは利用できません。
コメント (0)
この記事へのコメントはありません。