この作品は、「顔持つビーカー」と呼ばれ、制作年は1400年から1535年の間にペルー、中央部または南部の海岸地域で制作されました。制作者はインカの芸術家です。銀でできたこのビーカーの寸法は、高さ24.8センチ、幅9.5センチです。

このビーカーは金属製容器に分類されます。特徴的な顔の装飾が施された、非常に興味深い作品です。インカ文化における銀製容器は、特に贅を凝らした作りや独特の意匠が特徴でした。このビーカーは、その高さや特異な顔の彫刻など、その存在感が際立っています。

顔の部分がビーカーの一部としてデザインされており、それが作品全体を特徴づけています。この顔の彫刻は、当時の工芸技術と芸術性を象徴しています。その大きさや銀製の材質、そして顔の彫刻によって、このビーカーはインカ文化の豊かな工芸品として見逃せない作品です。

貴重な金属で作られた片側に人間の顔が彫刻されたビーカーは、ペルーで紀元9世紀から16世紀初頭まで製作されていました。くちばしのような隆起した鼻を持つものは、中央部と南部の多くの地域で見つかったと言われています。しかし、考古学者によって発掘されたものはなく、その文化的な帰属は不確かです。文献では、これらのビーカーはチムー、チンチャ、イカ、インカなどさまざまに呼ばれています。特にチムーのビーカーでは目や鼻など、より自然な特徴の表現がありますが、その文化への帰属を示すものではありません。

これらのビーカーは、2から16インチのさまざまなサイズで作られました。一部は直線的な形状をしており、他のものは広がった底部と段差のある上部を持っています。多くは銀の一枚板から製作され、金属を彫刻された木型の上で打ち出し、裏面が平らで金槌を叩く際に楔で固定されます。また、裏面と底部にははんだ付けの継ぎ目があります。ビーカーに描かれた顔はかなり標準化されていますが、口は通常下向きであり、打ち出しで作られた頭飾りの描写には多様性があります。多くのビーカーの後頭部には、打ち出しやはんだ付けで付けられたスタイライズされたトウモロコシの実があり、おそらくは儀式でトウモロコシの発酵ビールであるチチャを飲むために使用されたことを示唆しています。

画像出所：メトロポリタン美術館