カルロ・インノチェンツォ・カルローネ（Carlo Innocenzo Carlone、1686年 – 1775年）は、18世紀のイタリアの著名な画家であり、バロックおよびロココ様式の装飾家として広く知られています。彼はイタリアの教会や宮殿の装飾を手がけ、その優れた技術と独特のスタイルで高く評価されています。
カルローネは1686年、イタリアのルガノで生まれました。若いころにミラノで芸術を学び、フランチェスコ・アントニオ・グリーサ（Francesco Antonio Grisa）に師事しました。彼の教育と初期の経験が、後の作品に大きな影響を与えました。
彼のキャリアの中で、カルローネはイタリア北部と南部の多くの教会や宮殿の装飾を手がけました。特に彼の天井画や壁画は、バロック様式のドラマティックな表現とロココ様式の軽やかさを融合させた作品で知られています。豊かな色彩と複雑な構図が特徴で、宗教的なテーマや神話的なシーンを描きながら、視覚的に空間を拡張する効果を持たせました。
カルローネは教会の装飾において特に著名で、彼の手による作品は教会の内装に華やかさと荘厳さをもたらしました。また、貴族や裕福な家族の邸宅にも装飾を施し、これらの作品では彼の技術とセンスがより豪華で装飾的なデザインとして表れています。
1775年に亡くなったカルローネの作品は、今なおイタリアのバロックおよびロココ芸術の重要な一部として評価され続けています。彼の遺産は、イタリアの歴史的建築物や美術館で見ることができ、その美術的価値を今も伝えています。

「聖フェリックスと聖アダウクトゥスの栄光」（英語: The Glory of Saint Felix and Saint Adauctus）は、イタリアの画家カルロ・インノチェンツォ・カルローネ（Carlo Innocenzo Carlone）が1759年頃に制作した天井画です。この作品は、東京の国立西洋美術館に収蔵されています。
カルローネは18世紀のイタリアで活躍したバロックおよびロココ様式の画家で、教会や宮殿の装飾を手がけたことで知られています。彼の作品は、豊かな色彩と複雑な構図によって空間に動きと深みを与えることが特徴です。「聖フェリックスと聖アダウクトゥスの栄光」も、その技術とスタイルを象徴する作品です。
この天井画では、イタリアの聖人である聖フェリックスと聖アダウクトゥスが天上で栄光を受けるシーンが描かれています。天井画としての特性を活かし、視覚的に上方向に広がる構図が特徴です。聖人たちの周りには天使たちが舞い、光と雲の中で彼らを囲んでいます。カルローネは、彼らの姿をドラマティックに表現し、バロック様式特有のダイナミズムを作品に取り入れています。
技法や色彩においても、カルローネの巧妙な手法が見られます。鮮やかな色彩と光の効果により、画面全体に輝きと動きを持たせています。天使たちや聖人たちは、浮遊感を出すために柔らかい輪郭で描かれており、空間を広げる効果を生んでいます。
「聖フェリックスと聖アダウクトゥスの栄光」は、カルローネのバロック様式の技術を象徴する作品であり、彼の作風を理解する上で重要です。天井画としての形式を最大限に活かし、宗教的なテーマを力強く表現しています。この作品は、その歴史的および美術的な価値から、今日でも多くの鑑賞者に愛され続けています。