この「銅胎畫琺瑯“萬延年製”款花蝶紋葵口盤」は、中国の清代（1644年から1911年）に製作された銅胎畫琺瑯の花蝶紋葵口盤です。銅胎畫琺瑯は、銅合金の表面に琺瑯を塗り、そこに模様や絵画を描く技法であり、中国の工芸品の中でも特に高い技術を要するものの一つです。
この盤は約1860年頃に作られたものであり、その時代の特徴的な様式や技術が見て取れます。盤の直径は約21.6センチで、葵口（きくぐち）と呼ばれる装飾的な形状をしています。葵口は中国の陶磁器や金属工芸品でよく見られる装飾的な口の形状で、この盤にもその美しい曲線が見られます。
花蝶紋（かちょうもん）は、中国の伝統的な文様であり、花と蝶が美しく描かれています。これらのモチーフは中国の文化において幸福や繁栄を象徴するものであり、装飾品や工芸品によく用いられています。
「萬延年製」という文字は、製作者や製造年を示す可能性がありますが、詳細は不明です。しかし、このような作品は清代の貴族や裕福な家庭で愛され、飾られていたことでしょう。その美しい琺瑯の色彩と精緻な描写は、当時の工芸品の高い技術水準を示しています。
画像出所：メトロポリタン美術館
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