【傅大士の偈 A Gatha (Contemplative Verse) by Fu Daishi (497–569)】日本‐江戸時代‐萬慶容沢(永琢/永卓)
「傅大士の偈」は、江戸時代後期、17世紀末に制作された作品で、日本の画家である萬慶容沢(永琢/永卓)によるものです。この作品は、紙に墨を使って描かれた掛け軸です。
「傅大士の偈」は、中国の禅僧である傅大士(ふたいし)による詩文を題材にしたもので、禅の教えや哲学を表現した作品です。この掛け軸は、墨のみを使用して描かれており、文字と筆致に焦点を当てています。萬慶容沢は、禅の思想や詩文に深い関心を持っており、その精神を自身の作品に表現することを試みました。
この作品では、萬慶容沢の繊細な墨の筆致が見られ、傅大士の詩文が呼吸を持ち、独特の雰囲気を醸し出しています。文字の配置や書体によって、禅の精神や深い哲学を表現し、観る人に内省や静寂を促すような作品となっています。
この作品は、日本の禅文化や禅の教えを尊重し、その中で傅大士の言葉を通じて禅の智慧を表現した、萬慶容沢の作品の一つとして評価されています。
17世紀の臨済宗の大師、萬慶容沢(永琢/永卓)の哲学を表す流麗な行書の中国語が三つのダイナミックな柱として描かれています。彼は道教と禅仏教に根ざした「未生」と称する哲学を提唱し、その精神的な教えで知られていました。ここに描かれた銘文は、彼の精神的教えに内在する神秘的な視点を象徴しています。
天地の前に存し、形を持たず、静かであり、自己だけで孤独でありながら、その無限の力がすべての創造物を支配しています。季節が移り変わっても変わることなく、その力が変わらないことを示しています。
禅宗の大師である傅大士は、僧ではなく在家の修行者でありながら、その時代の偉大な中国の仏教の教師の一人として尊敬されていました。また、将来の仏、弥勒菩薩の化身とさえ言われていました。仏教を熱心に信仰していた梁の武帝も、彼の教えの熱心な学生でした。傅大士は慈善家としても評価され、例えば双林寺の建設やその敷地内に仏典の完全なコレクションを収蔵するための経蔵の資金提供を行いました。その経蔵は、後の世紀に一般的になる回転式の八面の仏典を収めるための台座を持っており、特徴的でした。そのため、彼の肖像画ではよく、そうした経蔵の近くでポーズをとって描かれています。彼は笑顔を浮かべた姿で描かれ、日本では笑い仏として知られています。
画像出所:メトロポリタン美術館
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