過去の記事一覧
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石井鶴三の作品《山嶽》
創作版画に刻まれた登高者の視界1925(大正14)年頃に制作された《山嶽》は、石井鶴三(1887–1973)が自画・自刻・自摺によって生み出した創作木版画である。多色摺の縦長画面に刻まれた…
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吉田博《高原の牧場》
高山美の結晶としての一景
吉田博は、日本近代洋画史において、山岳風景画の開拓者として知られる存在である。油彩・水彩・木版画と多彩な技法を駆使し、国内外の山岳、渓谷、湖水、海浜を描き尽く…
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武内鶴之助の《千曲川上流の朝》は、タイトルがまず提示するように、川の上流域における朝の瞬間を捕えようとする作品である。パステルという乾いた粉末状の色材を紙に定着させる手法は、油彩や水彩とは異なる、特有の即興性と微細な色…
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鈴木金平の作品「道」
作品との邂逅東京国立近代美術館の展示室の一角、照明に照らされた鈴木金平の「道」に出会ったとき、最初に感じたのは、音のない風景の中で静かに流れる時間だった。画面を覆う深く濃密な緑は、静けさの奥…
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佐伯祐三《雪景色》——厚塗りの激情と冬の沈黙1927年(昭和2年)に制作された佐伯祐三《雪景色》は、東京国立近代美術館に所蔵される彼の代表的な油彩作品のひとつである。タイトルこそ簡潔に「雪景色」と記されているが、この一…
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松林勝の作品「小諸風景」
小諸という町との出会い
小諸という地名を耳にすると、多くの人は浅間山や島崎藤村の文学を思い浮かべるかもしれません。信州の東部、千曲川の流れに沿って開けたこの町は、標高600メートル…
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黒田清輝の作品《落葉》
外光派から印象派への過渡を告げる秋景
1891(明治24)年、黒田清輝はパリ近郊の村、グレー=シュル=ロワンに滞在していた。ここは19世紀後半、北欧や英国、さらにはアジアからの画家を…
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恋の視線と背景の交錯
河野通勢が描いた《好子像》は、1916年(大正5年)という時代に生まれた一風変わった人物画である。タイトルにある「好子」とは、通勢が想いを寄せた女性だとされ、その描写には鑑賞者にも知られざる…
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斎藤豊作の作品《夕映の流》
黄昏の川辺に立つまなざし《夕映の流》は、斎藤豊作が渡欧後に帰国し、油彩画家として新たな境地を模索していた時期の代表作である。1913年(大正2年)、東京美術学校で黒田清輝に学び、さらに…
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異国の友を描くということ
中村彝の《エロシェンコ氏の像》は、日本近代洋画史における人物肖像画の一つの到達点として位置づけられる。ここで描かれているヴァシリー・エロシェンコは、1890年、当時のロシア帝国領内に生ま…
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この像は、平安時代に作られたもの…
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「ガラスオイノコエ」は、紀元前4世紀中期から紀元前3世紀初頭にヘレニスティック時代の古代ギリシャで…
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