カテゴリー:1◆東洋美術史
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桂ゆきの「作品」
タイトルと制作年の意味「作品」という、極めて中立的かつ汎用的な題は、読む者に自由な想像と受容の余地を与える。特定の主題名ではなく、作者自身が“表現そのもの”を示す意図のようにも感じられる。その曖…
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里見勝蔵の作品、「女」
そのタイトルと時代背景
「女」という、最もシンプルでありながら同時に最も重層的なタイトルは、おそらく特定の「誰か」ではなく、「女性とは何か」をめぐる普遍的な問いを提示します。1936…
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荻須高徳の作品「モンマルトル裏」
モンマルトルの「裏」へ荻須高徳が1940年に描いた「モンマルトル裏」という小品は、浮世離れしたようで、しかし何処か慟哭めいたリアリティを湛えた都市風景である。本作は、誰もが知る観…
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福沢一郎の作品、「人」(1936年制作)
一語で題された「人」という語は、説明を拒みながら、絵画が避けて通れない根源的な問い――「人間とは何か」――を観者の意識に呼び戻す。題名の簡潔さは、物語や状況説明の余地を徹…
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山口薫、《古羅馬の旅》
理想郷への憧憬と現実感覚の交錯
1930年代初頭、山口薫は長期にわたる滞欧生活を経験する。パリを拠点に、フランス国内のみならずイタリア、スペインなどを巡り、その過程で古代ローマやルネ…
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香月泰男の《水鏡》
満たされた青と空虚のあいだで
1942(昭和17)年に制作された香月泰男《水鏡》は、単純な写実画とも、単なる寓意画とも言い難い、不思議な静けさと深い余韻を湛えた作品である。画面には、壁に…
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福沢一郎の《二重像》
目撃者と鑑賞者のあいだに生まれる二重性
1937(昭和12)年に制作された福沢一郎《二重像》は、その題名が示す通り、ひとつの画面のなかに「二つの像」が存在しているように見える。しかし、…
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北脇昇の《空港》
見立てと寓意が交錯する戦時下のシュルレアリスム
1937年(昭和12年)、北脇昇が制作した《空港》は、油彩・キャンバスによる中型の作品であり、東京国立近代美術館に所蔵されている。本作は、…
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港の朝陽 ——藤島武二の晩年を彩る光の抒情詩
1934(昭和9)年に制作された藤島武二の油彩《港の朝陽》は、日本近代洋画史における「成熟の到達点」のひとつと見なされるべき作品である。本作は、その題名が示す通り、港…
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安井曽太郎の作品《奥入瀬の溪流》
奥入瀬との出会いと制作契機
安井曽太郎は、日本近代洋画史の中で独自の写実感覚と堅牢な構築性をもつ画家として知られる。本作《奥入瀬の溪流》は、1933(昭和8)年に制作された…
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