喬 子一覧
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鈴木金平の作品「道」
作品との邂逅東京国立近代美術館の展示室の一角、照明に照らされた鈴木金平の「道」に出会ったとき、最初に感じたのは、音のない風景の中で静かに流れる時間だった。画面を覆う深く濃密な緑は、静けさの奥…
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佐伯祐三《雪景色》——厚塗りの激情と冬の沈黙1927年(昭和2年)に制作された佐伯祐三《雪景色》は、東京国立近代美術館に所蔵される彼の代表的な油彩作品のひとつである。タイトルこそ簡潔に「雪景色」と記されているが、この一…
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松林勝の作品「小諸風景」
小諸という町との出会い
小諸という地名を耳にすると、多くの人は浅間山や島崎藤村の文学を思い浮かべるかもしれません。信州の東部、千曲川の流れに沿って開けたこの町は、標高600メートル…
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黒田清輝の作品《落葉》
外光派から印象派への過渡を告げる秋景
1891(明治24)年、黒田清輝はパリ近郊の村、グレー=シュル=ロワンに滞在していた。ここは19世紀後半、北欧や英国、さらにはアジアからの画家を…
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恋の視線と背景の交錯
河野通勢が描いた《好子像》は、1916年(大正5年)という時代に生まれた一風変わった人物画である。タイトルにある「好子」とは、通勢が想いを寄せた女性だとされ、その描写には鑑賞者にも知られざる…
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斎藤豊作の作品《夕映の流》
黄昏の川辺に立つまなざし《夕映の流》は、斎藤豊作が渡欧後に帰国し、油彩画家として新たな境地を模索していた時期の代表作である。1913年(大正2年)、東京美術学校で黒田清輝に学び、さらに…
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異国の友を描くということ
中村彝の《エロシェンコ氏の像》は、日本近代洋画史における人物肖像画の一つの到達点として位置づけられる。ここで描かれているヴァシリー・エロシェンコは、1890年、当時のロシア帝国領内に生ま…
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南薰造の作品《六月の日》(1912年制作)
写実と装飾のはざまで輝く、初夏の「疲労」の詩学
「六月の日」という題名がまず示すのは、季節としての「六月」が持つ明確な意味合いである。日本の多くの地域において、六…
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梅原龍三郎《黄金の首飾り》——「赤」の詩学と裸体美の確立
赤が先行する風景——作品との出会い
《黄金の首飾り》という題名を目にしたとき、鑑賞者はおそらく、黄金に輝く装飾品に目を凝らすことを想像するだろう。だ…
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作品「タチアオイの白と緑ーベダーナル山の見える」
ジョージア・オキーフにおける自然、抽象、そして神話の地層
アメリカ近代美術を代表する女性画家ジョージア・オキーフ(Georgia O’Keeffe, 188…
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