喬 子一覧
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港の朝陽 ——藤島武二の晩年を彩る光の抒情詩
1934(昭和9)年に制作された藤島武二の油彩《港の朝陽》は、日本近代洋画史における「成熟の到達点」のひとつと見なされるべき作品である。本作は、その題名が示す通り、港…
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ワシリー・カンディンスキーの《全体》
晩年の宇宙を束ねる構造と生命の脈動
1940年、ワシリー・カンディンスキーがフランスで描いた《全体》は、その題名が示す通り、彼の長い創作歴の総括とも言える作品である。…
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安井曽太郎の作品《奥入瀬の溪流》
奥入瀬との出会いと制作契機
安井曽太郎は、日本近代洋画史の中で独自の写実感覚と堅牢な構築性をもつ画家として知られる。本作《奥入瀬の溪流》は、1933(昭和8)年に制作された…
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織田一磨《「日本名山画譜」より 8.黒部宇奈月温泉夜景》
夜景版画という特異な領域
1935年(昭和10)年に制作された織田一磨《「日本名山画譜」より 8.黒部宇奈月温泉夜景》は、日本近代版画史においてきわ…
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織田一磨の作品《「日本名山画譜」より 13.妙義山》
近代山岳表現の一断面
1937(昭和12)年に制作された織田一磨《「日本名山画譜」より 13.妙義山》は、日本の近代版画史における山岳表現の成熟期を示す…
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織田一磨の《「日本名山画譜」より 3.信州八ヶ嶽立科山》(1934年、昭和9年制作)は、昭和初期における山岳画の一つの到達点を示す作品である。織田は版画家であると同時に水彩や油彩にも通じた多彩な作家であり、その幅広い技…
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丸山晚霞《ヒマラヤ山と石楠花》——山岳画の成熟と古風の魅力大正13年(1924)、丸山晚霞が手がけた《ヒマラヤ山と石楠花》は、日本山岳会の黎明期における山岳画家としての晩霞の歩みを集約した作品である。本作は水彩と鉛筆を…
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石井鶴三の作品《山嶽》
創作版画に刻まれた登高者の視界1925(大正14)年頃に制作された《山嶽》は、石井鶴三(1887–1973)が自画・自刻・自摺によって生み出した創作木版画である。多色摺の縦長画面に刻まれた…
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吉田博《高原の牧場》
高山美の結晶としての一景
吉田博は、日本近代洋画史において、山岳風景画の開拓者として知られる存在である。油彩・水彩・木版画と多彩な技法を駆使し、国内外の山岳、渓谷、湖水、海浜を描き尽く…
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武内鶴之助の《千曲川上流の朝》は、タイトルがまず提示するように、川の上流域における朝の瞬間を捕えようとする作品である。パステルという乾いた粉末状の色材を紙に定着させる手法は、油彩や水彩とは異なる、特有の即興性と微細な色…
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