この十四世紀の足利尊氏の鎧は、鉄、漆、皮革、絹、金メッキの銅などの素材で作られたものです。足利尊氏は室町幕府の初代将軍であり、その時代の重要な武将でした。この鎧は彼の装備として使われたものとされており、そのデザインや素材は当時の武士の装備の豪華さと技術を示すものとされています。

鉄や皮革、絹、金メッキの銅などの素材が使用されたことからも、この鎧は高度な工芸技術が用いられていることが分かります。漆は鎧の表面を保護し、装飾的な要素を強調するために使用されました。絹や皮革は、鎧の着用感を考慮して使われたでしょう。金メッキの銅は、鎧に贅沢な輝きをもたらす一方で、彫刻や装飾にも利用されました。

足利尊氏の鎧は彼の権威や地位を示すためにも用いられたものであり、その装飾やデザインは彼の威厳と力強さを象徴しています。武士の装備としての鎧は、戦国時代の社会や文化において重要な役割を果たし、その装飾や細部のデザインは個々の武将の個性や価値観を表現する手段としても利用されました。

足利尊氏の鎧は、彼の時代と武士文化に関する貴重な歴史的証拠であり、その存在は日本の歴史研究や文化理解において重要な一部とされています。

これは中世の鎧「鎧（よろい）」の珍しい例です。鎧は、体に巻きつくような胸当て（胸当）で特徴づけられ、右側には別のパネル（腰当て）で閉じられ、四辺の深いスカートで構成されています。10世紀から14世紀頃まで使用された鎧は、一般的に騎馬の武士が着用していました。

もともと、この鎧は白い絹で編み上げられ、スカートや袖（肩当て、ここでは欠落しています）の端には多色の模様が施されていました。これらの色鮮やかな模様は虹を象徴し、幸運とつかの間の美を表していました。胸当てには、強力な仏教の守護神である不動明王の姿がステンシルで描かれており、その厳しい表情と穏やかさ、内なる力強さを象徴しています。これらの特徴は武士たちに高く評価されました。

伝統的には、この鎧は足利尊氏（1305年-1358年）、足利将軍家の創設者によって京都近くの志野村八幡宮に寄贈されたとされています。