特別展「面具の彼方に――古蜀の光、オックスフォードに輝く」オックスフォード大学美術館

特別展「面具の彼方に――古蜀の光、オックスフォードに輝く」オックスフォード大学美術館

名称:特別展「面具の彼方に――古蜀の光、オックスフォードに輝く」オックスフォード大学美術館
会期:2025年11月8日ー
会場:オックスフォード大学美術館

特別展「面具の彼方に――古蜀の光、オックスフォードに輝く」オックスフォード大学美術館
特別展「面具の彼方に――古蜀の光、オックスフォードに輝く」オックスフォード大学美術館

霧のたちこめるイングランドの秋。テムズ河が静かに流れ、石造りの塔が薄い光を受けて立つ。
その遥か彼方、幾千里を隔てた成都平原から、ひとすじの光が届く。
三千年の眠りを破り、古蜀の文明がいま、オックスフォードの空に再び息づこうとしている。
十一月八日、オックスフォード大学で開催された特別展――
「面具の彼方に:三星堆と金沙の発見」。
青銅と黄金が交錯するその空間は、学問の殿堂を超え、
まるで時間の狭間を旅する回廊のようだった。
この展覧会は、四川省文物局の指導のもと、
三星堆博物館、金沙遺跡博物館、四川省文物交流・情報センターなどが共同で主催し、
外語教学与研究出版社(英国)と西南交通大学が運営を担った。
「三星堆—金沙遺跡 世界名門大学巡回展」の第一歩が、ここから始まったのである。

特別展「面具の彼方に――古蜀の光、オックスフォードに輝く」オックスフォード大学美術館
特別展「面具の彼方に――古蜀の光、オックスフォードに輝く」オックスフォード大学美術館

英国の著名な考古学者、ジェシカ・ローソン(Jessica Rawson)は、
かつて三星堆の発掘を「特別で、衝撃的で、独創的」と評した。
2024年、彼女が実際にその遺跡を訪れたとき、
「三星堆には世界を惹きつける力がある。
東西の文化が出会い、学術が交わる舞台になるべきだ」と語った。
その言葉は、今まさにオックスフォードの石畳の上で現実となった。

特別展「面具の彼方に――古蜀の光、オックスフォードに輝く」オックスフォード大学美術館
特別展「面具の彼方に――古蜀の光、オックスフォードに輝く」オックスフォード大学美術館

展覧会の会場では、三星堆と金沙から選ばれた17点の文物レプリカと3Dプリント作品が静かに光を放っていた。
金の面具をまとった青銅人像、身体をねじる跪坐の神像、
そして薄く、繊細に輝く「太陽神鳥」の金飾り――。
それらはただの展示品ではない。
古蜀の人々が天を見上げ、生命と神話を一つに生きた証そのものである。
ARゴーグルを通して、学生たちは三千年前の世界へと旅立つ。
炎のゆらめく祭壇、神鳥の飛翔、面具の向こうの瞳。
彼らは文明の源に触れ、人間の創造がもつ「畏れ」と「祈り」を体感する。
開幕式で、四川省文物局副局長の濮新(プー・シン)は語った。
「三星堆—金沙遺跡の意義は、考古学的発見にとどまりません。
それは中国考古学の発展そのものの象徴なのです。」
実際、1920年代の発見当初から、英国人宣教師V・H・ドニソーン(Donnithorne)ら
国際的な研究者の協力があった。
2019年の新しい発掘では、最先端の科学技術と多分野協働の手法が導入され、
中国考古学における「現場科学保護」の模範となった。

特別展「面具の彼方に――古蜀の光、オックスフォードに輝く」オックスフォード大学美術館
特別展「面具の彼方に――古蜀の光、オックスフォードに輝く」オックスフォード大学美術館

展覧会場には絶えず人の波があった。
学生も研究者も、その青銅の造形の不思議に見入り、
金面具の緻密な工芸に息をのむ。
「これは素晴らしい!」と声を上げたのは、
オックスフォード大学名誉教授のドナ・カーツ(Donna Kurtz)。
「私が海外で見た三星堆展の中で、これが一番美しい」と微笑んだ。
彼女の言葉には、学者としての驚きと、人間としての感動が混ざっていた。

特別展「面具の彼方に――古蜀の光、オックスフォードに輝く」オックスフォード大学美術館
特別展「面具の彼方に――古蜀の光、オックスフォードに輝く」オックスフォード大学美術館

同日午後には、
「考古学から見る中国――歴史・文化・芸術」と題するシンポジウムが開催された。
中英双方の研究者が一堂に会し、三星堆と金沙の精神的世界を論じ合う。
青銅の静寂は、言葉と思想の交差によって再び声を持ち、
過去の文明が現代の知性の中で呼吸を始める。

特別展「面具の彼方に――古蜀の光、オックスフォードに輝く」オックスフォード大学美術館
特別展「面具の彼方に――古蜀の光、オックスフォードに輝く」オックスフォード大学美術館

成都平原の土と、オックスフォードの石。
遠く離れたこの二つの大地が、いま一本の文化の道で結ばれている。
三星堆の「面具」は、もはや異国の遺物ではなく、
人類の精神史を照らす鏡として、世界の学問の中にその姿を映している。

特別展「面具の彼方に――古蜀の光、オックスフォードに輝く」オックスフォード大学美術館
特別展「面具の彼方に――古蜀の光、オックスフォードに輝く」オックスフォード大学美術館

ある人は言う――三星堆は「謎」であると。
その神々も、象徴も、夢のように遠く、解けぬ問いを孕んでいる。
だが、だからこそ人は惹かれる。
その神秘は、人間が未知に向かう力そのものだからだ。
オックスフォードの学生たちがARの仮想空間で
古代の職人たちと出会ったとき、
彼らが見つけたのは異文化ではなく、
「創造」という共通の光だったのかもしれない。

特別展「面具の彼方に――古蜀の光、オックスフォードに輝く」オックスフォード大学美術館
特別展「面具の彼方に――古蜀の光、オックスフォードに輝く」オックスフォード大学美術館

夜が訪れる。
石畳に街灯がともり、ガラスの展示室に金の面具がほのかに反射する。
その輝きは、星空と混ざりあいながら語りかけているようだった――
三千年の時を超え、古蜀の魂はいま、世界の心に息づくのだと。

特別展「面具の彼方に――古蜀の光、オックスフォードに輝く」オックスフォード大学美術館
特別展「面具の彼方に――古蜀の光、オックスフォードに輝く」オックスフォード大学美術館

文明とは、記憶の連鎖であり、光の継承である。
そしてその光は、国境も言語も超えて、
人類という名のひとつの生命の中で、静かに燃え続けている。

特別展「面具の彼方に――古蜀の光、オックスフォードに輝く」オックスフォード大学美術館
特別展「面具の彼方に――古蜀の光、オックスフォードに輝く」オックスフォード大学美術館

面具の彼方にあるのは、過去ではない。
それは、未来へと開かれた「対話」そのものなのだ。

特別展「面具の彼方に――古蜀の光、オックスフォードに輝く」オックスフォード大学美術館
特別展「面具の彼方に――古蜀の光、オックスフォードに輝く」オックスフォード大学美術館
特別展「面具の彼方に――古蜀の光、オックスフォードに輝く」オックスフォード大学美術館
特別展「面具の彼方に――古蜀の光、オックスフォードに輝く」オックスフォード大学美術館
特別展「面具の彼方に――古蜀の光、オックスフォードに輝く」オックスフォード大学美術館
特別展「面具の彼方に――古蜀の光、オックスフォードに輝く」オックスフォード大学美術館
特別展「面具の彼方に――古蜀の光、オックスフォードに輝く」オックスフォード大学美術館
特別展「面具の彼方に――古蜀の光、オックスフォードに輝く」オックスフォード大学美術館
特別展「面具の彼方に――古蜀の光、オックスフォードに輝く」オックスフォード大学美術館
特別展「面具の彼方に――古蜀の光、オックスフォードに輝く」オックスフォード大学美術館
特別展「面具の彼方に――古蜀の光、オックスフォードに輝く」オックスフォード大学美術館
特別展「面具の彼方に――古蜀の光、オックスフォードに輝く」オックスフォード大学美術館
特別展「面具の彼方に――古蜀の光、オックスフォードに輝く」オックスフォード大学美術館
特別展「面具の彼方に――古蜀の光、オックスフォードに輝く」オックスフォード大学美術館
特別展「面具の彼方に――古蜀の光、オックスフォードに輝く」オックスフォード大学美術館
特別展「面具の彼方に――古蜀の光、オックスフォードに輝く」オックスフォード大学美術館
特別展「面具の彼方に――古蜀の光、オックスフォードに輝く」オックスフォード大学美術館
特別展「面具の彼方に――古蜀の光、オックスフォードに輝く」オックスフォード大学美術館

関連記事

コメント

  • トラックバックは利用できません。

  • コメント (0)

  1. この記事へのコメントはありません。

コメントするためには、 ログイン してください。

プレスリリース

登録されているプレスリリースはございません。

カテゴリー

ページ上部へ戻る