【夏秋花鳥図 Birds and Flowers of Summer and Autumn】室町時代後期‐式部輝忠

【式部輝忠筆 夏秋花鳥図】

式部 輝忠(しきぶ てるただ、生没年不詳)は、日本の室町時代後期、16世紀の水墨画家であり、初期は仲安真康や祥啓に学んだが、のちに小田原狩野派と関係をもちつつ、狩野元信の安定した構成様式を取り入れ、独自の画風を切り開いた。早雲寺に「達磨図」(晩年の作)が残るが、後北条氏との関係ははっきりしない。むしろ今川氏との繋がりを示す史料がいくつか残り、今川文化圏を含めた関東地域で活躍したと推測される。金泥を多用し、戯画化したモチーフを人工的に再構成して画面を組み立てる点に特色がある。

この作品は、夏と秋の季節に咲く花や鳥を美しく描いたもので、日本の自然や季節感を表現したものとされています。花や鳥の描写には、詳細な筆致と繊細なタッチが用いられ、それぞれの要素がリアルかつ美しい形で描き出されています。右側の巻物に咲くアオイとユリは、真夏に咲く花であり、左側には晩夏から秋にかけての花々が対照的に描かれています。この中には木綿薔薇、菊、そしてユリカモメの花が含まれています。細部の豊かな描写は、日本の東部地方で活動した多産な画家である式部輝忠の芸術の特徴です。彼の多くの作品は、狩野派のスタイルや構図に精通していることを示していますが、式部輝忠は、彼が活動した時代の関東地方の後期中世の画壇の中心的存在である建功松渓(活動:1478年以前〜約1523年)のスタイルを模倣してキャリアをスタートさせたとされています。右上に飛んでいる黒背のセッカと、左側に立つ黄鶲も、例えば、松渓とその多くの弟子たちの作品に見られるモチーフと同じものです。

式部輝忠は、日本の花鳥画の伝統に基づきながらも、独自のスタイルや技法を持っていました。彼の作品は、精緻な筆遣いと色使い、また季節感や自然の美しさを捉えた描写が特徴とされています。

日本の花鳥画は、自然との調和や季節の移ろいを表現する伝統的なジャンルであり、日本の美意識や文化を反映しています。式部輝忠の作品も、そのような美意識を引き継ぎつつ、個性的な表現を通じてその価値を高めています。

「式部輝忠筆 夏秋花鳥図」は、その美しさや芸術的な価値から、美術愛好家やコレクターの間で高く評価されています。

【式部輝忠筆 夏秋花鳥図】
【式部輝忠筆 夏秋花鳥図】
【式部輝忠筆 夏秋花鳥図】
【式部輝忠筆 夏秋花鳥図】
【式部輝忠筆 夏秋花鳥図】

画像出所:Shikibu Terutada (Japanese, active mid–16th century) Birds and Flowers of Summer and Autumn, Japan, Muromachi period (1392–1573) Pair of hanging scrolls; ink and color on paper; Image (a): 37 11/16 × 17 5/8 in. (95.8 × 44.8 cm) Overall with mounting (a): 74 7/16 × 23 3/8 in. (189 × 59.3 cm) Overall with knobs (a): 74 7/16 × 25 3/16 in. (189 × 64 cm) Image (b): 37 11/16 × 17 5/8 in. (95.8 × 44.8 cm) Overall with mounting (b): 74 5/8 × 23 3/8 in. (189.5 × 59.3 cm) Overall with knobs (b): 74 5/8 × 25 3/16 in. (189.5 × 64 cm) The Metropolitan Museum of Art, New York, Mary Griggs Burke Collection, Gift of the Mary and Jackson Burke Foundation, 2015 (2015.300.64a, b) http://www.metmuseum.org/Collections/search-the-collections/53221

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