【山水圖冊　Landscapes】中国‐明代‐張風

「山水圖冊」は、中国の画家である張風によって描かれた絵巻で、明代（1368年から1644年）の作品です。絵巻は12枚の葉から成り、紙に墨と色彩で描かれています。各葉の寸法は、おおよそ6 1/16 x 9インチ（約15.4 x 22.9センチメートル）です。

この絵巻は、中国の山水画として知られる伝統的な風景画のジャンルに属しています。山水画は、山や川、樹木などの自然の風景を描いたもので、中国の絵画史において非常に重要な位置を占めています。

張風は17世紀の画家で、その活動期間は約1628年から1662年の間とされています。彼の作品は、明代の芸術的伝統を受け継ぎながらも、独自のスタイルと表現を持っています。

「山水圖冊」の各葉は、山々や川、木々、岩、滝など、豊かな自然の風景を描いた様々な場面で構成されています。また、中国の山水画にはしばしば詩文が添えられることがあり、この絵巻にも文学的な要素が含まれている可能性があります。

この作品は、中国の美術史や文化史を理解する上で貴重な資料であり、その美しさや技術的な巧みさから、芸術愛好家や学者の間で高い評価を受けています。

1644年4月、北京が群盗の李自成に陥落した後、南京は明忠臣政権と攻め込んできた満州軍との間で混乱した戦闘の年を経験しました。この絵巻は、明王朝が崩壊しつつある1644年8月に描かれました。

張風は、隠者の世界の理想的なイメージを作り出す際に、倪瓚（1306年-1374年）の淡く乾いたスタイルを模倣しましたが、彼の繊細なタッチは倪瓚のスタイルに新しい抒情的な魅力を加えています。言語にも興味を持つ張風は、視覚的な詩的イメージの表現的な相互作用を新鮮で洞察力に富んだ方法で探求しています。1枚の葉は松のさゆりと岩の上を流れる水の音を描写しており、別の葉は人里離れた谷に石を投げ込む音を想起させます。さらに別の葉では夕日が描かれており、学者画家にはあまり描かれることのない主題ですが、これは張風にとって深い象徴的意味を持っていた可能性があります。彼は満州人による征服後も明王朝に忠実であり、新政権の下で公職に就くことを拒否し、貧困の中で生涯を終えました。