天章周文は室町時代に活躍した画家の一人であり、「山水図屏風」はその代表作の一つです。この作品は、風景画の一種である山水画を屏風に描いたものです。
山水画は、山や川など自然の風景を描いたもので、中国から伝わった絵画のジャンルの一つです。伝天章周文の作品は、中国の山水画の影響を受けながらも、独自の特色や技法が見られます。
「山水図屏風」は、一連の風景が連続して描かれ、画面全体を使って自然の美しさや荘厳さを表現しています。山の起伏や木々、川の流れなど、細部にわたる繊細な表現が特徴的です。また、深い緑や青、山の青々とした色彩など、自然の色彩を生かした作品も特徴の一つです。
この作品は、当時の日本の風景や自然の美しさを描き出したものとして、室町時代の美術の代表作の一つとされています。
中世後期の京都では、足利将軍家の周囲にいる文化的エリートたちは、特に中国の水墨画に関心を持っていました。彼らは熱心に中国の名手の作品を集め、日本の画家に中国の先人たちのスタイルで作品を制作するよう依頼しました。この一対の屏風を構成する作品は、南宋時代の中国の宮廷画家である夏圭(活動時期は約1195年から1230年頃)からのインスピレーションを受けています。彼の作品は中世の日本で非常に高く評価されていました。厚い輪郭線で描かれた岩の形、”斧の切り”筆使いによる質感、そして”苔点”で強調された要素、そして前景の木々は、日本の観客にとって夏圭のスタイルの画面要素としてすぐに認識されました。後に画家の狩野安信(1614年から1685年)による銘文が、元の作家を京都の画家天章周文として名前を挙げていますが、これらの絵画は実際にはペアとして制作されたわけではありませんでした。むしろ、これらは周文の直後に活動した二人の別々の作家による作品を後に組み合わせたものです。
画像出所:メトロポリタン美術館
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