室町時代の唐花蒔絵鞍(Saddle: Gold maki-e with black lacquer decoration:Pommel: lacquered wood with gold and silver takamaki-e and hiramaki-e on black ground; seat: nashiji “pear-skin” ground)は、その豪華な装飾と精巧な技術で知られる、貴重な武具の一つです。この鞍は、室町時代に日本で製作されたもので、武士階級や貴族階級の間で非常に高く評価されていました。
この鞍は、金蒔絵(maki-e)技法を使用して装飾されており、特に黒漆の表面に金箔や銀箔を使った高蒔絵(takamaki-e)や平蒔絵(hiramaki-e)が施されています。これらの技法は、金属箔を細かい模様やデザインに配置し、その後に漆で覆って光沢を持たせるもので、美しい花や模様が見事に表現されています。
鞍の把手や座面にある「唐花」は、中国の花の装飾に触発されたもので、当時の文化的な影響を反映しています。唐花は室町時代の芸術や美術において広く使用され、贅沢で華麗なデザインの象徴とされました。
このような鞍は、武士の装備としてだけでなく、美術品としても高く評価され、贈り物や儀式にも使用されました。現代においても、これらの鞍は美術品として価値があり、美術コレクターによって収集されています。
この軽く、丁寧に作られた鞍は、その裏に1491年の日付が刻まれており、室町時代の乱れた武士の戦闘で使用された可能性があります。武士の家族にとって、このような鞍は注意深く保存され、江戸時代には再び漆塗りや装飾が施され、当時の嗜好を反映するために改装されました。鞍の把手にある花の装飾は、中国の錦織りシルクから着想を得ています。
画像出所:メトロポリタン美術館
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