スマトラ島西部のミナンカバウ族の男性たては、儀礼時に壮麗な衣装をまといました。経糸に絹、緯糸に木綿を用いた赤色の裂に、金糸を表面で浮かせ幾何学文を表しています。襟ぐりからは裏面も見え、金糸がふんだんに裂幅いっぱいまで織り込まれていることが分かります。
インドネシア・スマトラ島の西部地域において、20世紀に流行したのは、浮紋織(うきもんおり)の上衣で、特に赤何花文浮織と呼ばれるものです。この上衣は絹や木綿で織られ、撚金(ねじきん)糸も使用される特別な装飾的な衣料です。
浮紋織は、特定の文様を織り込むために糸を浮かせる技法であり、これによって凸凹した模様やデザインが表現されます。絹や木綿を用いることで、柔らかく上質な質感を持ち、特に撚金糸を使用することで、光沢や輝きが加わり、より豪華で高貴な印象を与えることができます。
赤何花文浮織は、スマトラ島西部の伝統的なデザインで、特有の花文様が浮き出るように織り込まれた布地です。この文様には、地域の文化や民族の特徴が反映されており、地域の花や植物をモチーフにしたデザインが多く見られます。赤い色は、インドネシア文化において繁栄や幸福を象徴するため、特に重要視される色として用いられます。
これらの浮紋織の上衣は、特別な行事や祭典、結婚式などのフォーマルな場面で着用されることが一般的です。地域の重要な行事や文化的な儀式での装いとして重要な役割を果たしています。
スマトラ島西部の浮紋織の上衣は、伝統的な技法と美しいデザインが融合した芸術的な作品であり、地域の文化遺産として大切に守られています。これらの上衣は手工芸品として手作業で制作され、その美しさと豪華さにより、国内外で高い評価を受けています。
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