【蓮生法師図 Monk Renshō Riding His Horse Backwards】江戸時代‐松村呉春
江戸時代の画家松村呉春(Matsumura Goshun、1752年-1811年)による「蓮生法師図」(れんしょうほうしず)は、日本の絵画の中で重要な作品の一つです。呉春は江戸時代後期の画家で、江戸時代の絵画界において、四条派(Shijō school)と呼ばれる絵画スタイルの創始者の一人とされています。
「蓮生法師図」は、宗祇(Sōgi)という僧侶のことで、宗祇は日本の中世の禅僧で、俳諧(haikai)詩の発展に大きな貢献をしました。呉春の「蓮生法師図」は、宗祇の肖像画として知られており、宗祇が俳諧詩の実践者としての姿勢を表現しています。この絵画は、宗祇の禅僧としての精神的な深さと詩人としての才能を称えるものとして描かれました。
呉春は、四条派の画家として、伝統的な絵画技術を受け継ぎつつも、新しいスタイルとアプローチを開拓しました。彼の作品は、細密画としての技術的な巧妙さと、自然の風景や人物を生き生きと表現したことで知られています。また、呉春は俳諧詩にも興味を持ち、絵画と詩が融合した作品を制作しました。
「蓮生法師図」は、呉春の芸術的遺産の一部として高く評価されており、日本の絵画史における重要な作品の一つとされています。
源平合戦(Genpei War、1180年-1185年)の有名な軍事英雄、熊谷直実(Kumagai Naozane)は、戦場で取った命に対する後悔に悩み、世俗的な生活を捨てて浄土宗(浄土真宗)の信者となりました。彼は蓮聖(Renshō)と名前を変え、二度と西方浄土の仏である阿弥陀仏を背けないことを誓いました。
この逸話に基づいて描かれた芸術作品では、蓮聖が京都から日本の関東地方に向かう際、約束を破らないために実際に馬に背を向けて座るという光景がしばしば描かれます。呉春は、このテーマを俳画(俳句の精神を反映した絵画)の典型的なカジュアルなスタイルで描きました。署名によれば、この作品は神戸市の一部である古代の詩的な関連性を持つ地、湊(Minume)の宿屋で制作されました。
この逸話は、蓮聖(熊谷直実)の精神的な転換と彼の誓いを表現するものであり、浄土宗の信仰と日本の詩的な伝統が結びついたものです。呉春の絵画は、俳画の伝統とともに、この逸話の感動的な要素を捉えています。
画像出所:メトロポリタン美術館
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