外面に龍、鳳凰、蓋裏と見込みには牡丹唐草文が緻密に施された象嵌青磁、13世紀の優品。全羅南道潭陽郡大徳面の境墓から出土したと伝えられています。朝鮮で事業を興し、古美術収集で知られた小倉武之助旧蔵品で、昭和56年(1981)に寄贈されたもの。
全羅南道潭陽郡大徳面の境墓から出土した高麗時代の青磁象嵌雲龍文蓋付鉢は、貴重な考古学的な発見です。これは12世紀から13世紀の高麗時代に作られたものであり、青磁と象嵌技法を組み合わせた優れた工芸品です。
「青磁」とは、中国や朝鮮半島で古くから生産されてきた青色の陶磁器です。青磁は、鉄分を含む釉薬の焼成時に酸素不足の環境で焼かれることで特徴的な青色が現れます。高麗時代の青磁は、緻密で透明感のある釉薬や繊細な造形などが特徴で、非常に美しい作品が多く作られました。
この青磁象嵌雲龍文蓋付鉢には、「象嵌」という技法が使われています。象嵌は、陶磁器の表面に装飾的な模様や図案を作るために、異なる材料(通常は金属や宝石)を埋め込む技法です。この鉢には、龍の形をした模様が象嵌されており、その上に雲の文様が描かれています。龍は東アジアの伝説や信仰の中で神聖な存在とされ、雲は龍の力や神秘性を象徴する要素とされます。
このような青磁象嵌雲龍文蓋付鉢は、高麗時代の美術工芸品の中でも特に貴重な存在です。それは高度な技術と芸術的な才能を持った職人によって作られ、当時の社会や宗教的な信仰体系を反映しています。このような出土品は、歴史や文化における貴重な情報源として研究者や考古学者にとって非常に重要です。
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