アデライド・ラビーユ＝ギアール（Adélaïde Labille-Guiard）による「後ろ姿の座った女性（マリー・ガブリエル・カペ）」は、1789年に制作された作品で、フランスの女性画家による優れた肖像画の一例です。この作品は、マリー・ガブリエル・カペ（Marie-Gabrielle Capet）という女性の後ろ姿を描いており、彼女の美しさと肖像画の技巧が際立つ作品です。

マリー・ガブリエル・カペは、18世紀末のフランスで活動した女性画家で、特に美人画や肖像画の分野で知られています。彼女はアデライド・ラビーユ＝ギアールの弟子であり、彼女の指導を受けて画家としてのスキルを磨きました。この作品は、カペの魅力的な後ろ姿を捉えており、彼女のポーズや服装、髪型などが精緻に描かれています。

アデライド・ラビーユ＝ギアールは、女性画家としての成功を収め、美術教育においても女性の進出を支援したことで知られており、彼女の弟子であるカペもその影響を受けました。この作品は、女性画家の才能と美術教育への貢献を象徴するものとして評価されています。

「後ろ姿の座った女性の研究（マリー・ガブリエル・カペ）」は、アデライド・ラビーユ＝ギアールの作品の中でも美しさと技術力が光るものであり、フランス美術史における女性画家の重要性を示す優れた作品です。

ミニチュア、パステル、油彩による肖像画を制作したアデライド・ラビーユ＝ギアールは、1783年にアカデミー・ロワイヤル（王立美術アカデミー）に入学し、18世紀のフランスでこの栄誉を受けた数少ない女性の一人でした。彼女の図面技術の希少な例であるこの作品は、トロワ・クレヨン（赤、黒、白のチョーク）を使用した彼女の力強い技法を示しており、これは彼女の夫であるフランソワ＝アンドレ・ヴァンサン（François-André Vincent、1746年–1816年）の技法と似ています。

この作品では、彼女の熱心な弟子であるマリー・ガブリエル・カペ（Marie-Gabrielle Capet）を描写しており、カペはラビーユ＝ギアールと夫ヴァンサンの家庭に住んでいました。ラビーユ＝ギアールが1803年に亡くなった後も、カペはヴァンサンが1816年に亡くなるまで彼の世話をし続け、自身の死の2年前までその家庭にとどまりました。

この作品は、アデライド・ラビーユ＝ギアールと彼女の熱心な弟子カペの深い絆と、18世紀のフランスで女性画家としての存在感を持ち続けたことを示す貴重な証拠です。また、美術史の観点からも、女性画家の役割と貢献に光を当てており、その芸術的な遺産を称えています。

画像出所：メトロポリタン美術館