【鉄絵魚文鉢】タイ-15~16世紀-陶磁器－常設展－東京国立博物館

寄贈者の横河民輔(1864〜1945)は近代日本を代表する建築家であり、東洋陶磁収集家としても著名です。寄贈品の多くは中国陶磁ですが、体系的な陶磁研究には欠かすことのできない東南アジアや朝鮮、日本の陶磁器も含まれており、大変貴重なコレクションです。

タイの15世紀から16世紀にかけて、陶磁器の鉢に鉄絵魚文（てつえぎょもん）が描かれるようになりました。これは、タイの陶磁器の特徴的な装飾技法の一つです。

鉄絵魚文は、魚のモチーフを中心にした装飾パターンです。これは主に青と白の釉薬を用いた陶器に描かれ、魚の形や模様が鉢の表面に緻密に描かれます。一般的なデザインは、魚が泳いでいる様子や、魚の群れが水中で泳ぐ姿が描かれます。これらの魚の姿は非常に詳細に描かれ、鱗やヒレの模様まで細かく表現されています。

鉄絵魚文の技法は、タイの陶磁器産業で特に重要でした。この技法は中国の青花装飾技法に触発されたものであり、中国からの影響が見られます。しかし、タイの陶磁器は独自の特徴も持っており、鉄絵魚文はその代表的な例です。

鉢は食器や容器として使用され、贈り物や装飾品としても人気がありました。また、タイの王室や寺院のコレクションにも多くの鉄絵魚文の鉢が収められています。これらの鉢は、タイの芸術と工芸品の一部として高く評価されています。

現在、タイの陶磁器の鉢は、美術品としての価値が高く、コレクターや美術館の収蔵品としても人気があります。鉄絵魚文の鉢は、タイの歴史と文化の一端を伝える重要な作品として、多くの人々に愛されています。

【鉄絵魚文鉢】タイ-15~16世紀-陶磁器－常設展－東京国立博物館－東洋館