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【仏鉢供養・菩薩交脚像】アフガニスタン|3~4世紀|片岩|矢野鶴子氏寄贈-常設展-東京国立博物館-東洋館
- 2023/7/23
- 04・アフガニスタン美術
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中央の鉢は釈尊が四天王から各1つずつ受け取って重ねたもの。ロ縁の刻線は重ねた様子を表現しています。左右の脚を交差させて坐す菩薩は弥勒菩薩。釈尊の鉢は後継者である弥勒と菩薩が思惟を続ける兜率天に至ったといわれます。ガンダーラには仏鉢があったと法顕や玄奘が記しています。
アフガニスタンの3世紀から4世紀頃の片岩の仏鉢供養・菩薩交脚像は、仏教美術の傑作として知られています。これらの彫像は、古代のガンダーラ地域においてクシャーン朝の時代に制作されました。
仏鉢供養(ぶっさくくよう)は、仏陀(釈迦)が悟りを開いた場所である菩提樹の下で座禅を組んでいたときに、四つの天使によって供物が捧げられたという伝説に基づいたシーンを表現したものです。仏鉢供養のシーンでは、釈迦が菩提樹の下で座っており、四天王(四大天)と呼ばれる守護神が彼を守護し、菩提樹の枝から供物が現れる様子が描かれます。
また、菩薩交脚像は、仏陀ではなく、菩薩(覚者や悟りを求める者)が交差させた脚を持つ姿勢で表現された像です。これは、菩薩が悟りを開く前の段階である、修行を積む姿勢を象徴しています。
これらの片岩の仏鉢供養・菩薩交脚像は、主に粘土質の岩石である「シリウス砂岩」を使って制作されました。ガンダーラ美術の特徴であるギリシャ・ローマの芸術との融合が見られ、特に仏鉢供養のシーンでは菩提樹の枝や四天王の服装などにギリシャ的な要素が取り入れられています。
これらの彫像は、仏教寺院や聖地において崇拝され、信仰の対象として大切にされていました。現代でも、アフガニスタンの一部の遺跡や美術館でこれらの片岩の仏鉢供養・菩薩交脚像が展示されており、仏教美術の重要な遺産として評価されています。ただし、アフガニスタンの政治的な状況や文化遺産を脅かす事態があるため、これらの遺物を守ることが重要とされています。
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