朱漆高盤(しゅしつたかばん、またはあけしだかばん)は、日本の室町時代に根来寺(ねごとじ)という寺院が製作した漆器の一種です。根来塗(ねごとぬり)とも呼ばれることがあります。根来塗は、主に紅漆(べにうるし)と呼ばれる漆を使用して、美しい朱色の仕上げを施した漆器です。室町時代に根来寺が栄えていた頃、この寺は日本国内で根付いた漆芸の伝統を持っており、その中でも朱漆高盤は特に美しい作品として知られています。
朱漆高盤は、盤の形状によって異なる用途に使われました。一般的には食器や盛り付け皿として使用されることが多かったようですが、その美しい朱色と独特の装飾は、贈り物や美術品としても重宝されました。
根来寺は、その当時、日本の武士階級や豪族の庇護を受けており、朱漆高盤などの漆器が高い評価を受けていました。根来塗の技術は、寺の専門職人によって厳格に守られ、後には他の寺院や地域にも広がっていきました。しかし、時が経つにつれてこの技術は衰退し、現代においても伝統的な技術を継承する工房や職人は限られています。
朱漆高盤(根来塗)は、室町時代の日本の漆器文化を象徴する重要な作品の一つとして評価されています。その美しい朱色と繊細な装飾は、日本の伝統工芸品として多くの人々に愛されています。
花びらのような縁取りと格子模様の底部を持つこの盆は、中世の日本が中国から輸入された美術品(唐物)をどれほど尊重していたかを象徴しています。宋(960〜1279)および元(1271〜1368)時代のこのような貴重な作品は、鎌倉時代(1185〜1392)および室町時代に新たな宗派や仏教の教え、特に禅宗の導入とともに日本にもたらされました。中国の影響を受けた根来塗の盆のような作品は、13世紀中ごろから日本の職人によって作られ始めました。高い足を持つものは、主に点目茶碗と一緒に使用して茶を供するために使われました。
画像出所:メトロポリタン美術館
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