「銅胎畫琺瑯花鳥圖盤」は、清朝時代の中国で作られた銅胎画琺瑯（エナメル装飾）による美しい装飾品です。以下にその詳細について説明します。

基本情報

• 時代: 清朝 (1644–1911)
• 制作時期: 19世紀
• 文化: 中国
• 素材: 銅胎に描かれたエナメル（銅合金にエナメル）

特徴とデザイン

1. 銅胎畫琺瑯技法:
   • 銅胎 (銅合金): 盤の基盤となるのは銅合金で、これにエナメルが施されています。銅胎技法は、銅や銅合金の基盤にエナメルを塗り重ねて焼成する方法で、美しい模様や色合いを持つ装飾品を作り出します。
   • 畫琺瑯 (描かれたエナメル): 銅胎に直接描かれるエナメルで、細かい筆使いや色彩が特徴です。エナメルを焼成して、絵柄が定着します。この技法は清朝の時代に特に発展し、細密で華麗なデザインが施されます。
2. デザイン:
   • 花鳥図: 盤の中心に描かれているのは花鳥図で、これは中国の伝統的なデザインモチーフです。花鳥図にはしばしば季節や自然の美しさを象徴する花や鳥が描かれ、生活や運命に対する願いが込められています。
   • 詳細な装飾: この盤には、細かい花や鳥の絵が精緻に描かれており、色彩が豊かで生き生きとした印象を与えます。背景や周囲の装飾も含め、エナメルの色合いと筆使いが非常に美しいです。
3. サイズ:
   • 寸法: 長さ 7 1/2 インチ (19.1 cm); 幅 5 3/4 インチ (14.6 cm) と比較的小型で、卓上や飾り棚に適したサイズです。
4. 技術的背景:
   • 清朝時代の工芸: 19世紀の清朝時代には、特に乾隆（1736–1795）から光緒（1875–1908）にかけて、エナメル技術が非常に発展しました。銅胎にエナメルを施す技法は、華麗で精密な装飾を可能にし、特に宮廷や貴族の間で人気がありました。
   • 細密な技法: この時代の工芸品は、細部にわたる精緻な装飾と美しい色彩が特徴で、工芸職人たちの技術の高さがうかがえます。
5. 用途と象徴性:
   • 装飾品としての使用: このようなエナメル装飾の盤は、主に装飾品として使用され、儀式や贈答品としても高く評価されました。
   • 文化的意味: 花鳥図は、繁栄や幸福を象徴するものであり、視覚的に楽しませるとともに、持ち主に対する願いが込められています。

まとめ

「銅胎畫琺瑯花鳥圖盤」は、19世紀の清朝時代に制作された精緻な装飾品で、銅胎にエナメルで描かれた美しい花鳥のデザインが特徴です。細密な技法と豊かな色彩が施されたこの盤は、中国の伝統的な工芸技術の優れた例であり、装飾品としてだけでなく、文化的な価値も高い作品です。

画像出所：メトロポリタン美術館