【掐絲琺琅大吉葫蘆瓶 Gourd-shaped vase with characters for “grand luck” (da ji)】中国‐清朝時代‐乾隆年間
「掐絲琺琅大吉葫蘆瓶」は、清朝時代の中国で制作された掐絲琺琅(クアンスィーファーロン)技法による美しい装飾瓶です。以下にその特徴と詳細について説明します。
基本情報
- 時代: 清朝 (1644–1911)
- 年号: 乾隆年間 (1736–1795)
- 制作時期: 18世紀後半から19世紀初頭
- 文化: 中国
- 素材: 掐絲琺琅(クアンスィーファーロン、Cloisonné enamel)
特徴とデザイン
この瓶は掐絲琺琅技法を用いたもので、以下のような特徴があります:
- 掐絲琺琅技法:
- 掐絲 (クアンスィー): 「掐絲」は「細い銅線を使う」という意味で、磁器や金属の表面に細い銅線を使ってデザインを作成します。これにより、エナメルの色が分かれた領域に入ることになります。
- 琺琅 (ファーロン): 磁器や金属の表面に施されるエナメル塗装で、色と模様を作り出します。掐絲琺琅は、銅線で区切られた領域にエナメルを流し込み、焼成することで美しい装飾が完成します。
- 瓶の形状:
- 大吉葫蘆瓶: 「葫蘆瓶」は、ひょうたん型の瓶で、丸い底部から広がり、上部が狭くなる形状をしています。葫蘆(ひょうたん)は中国文化において繁栄や健康を象徴する形であり、大吉(たいきち)は「大いなる幸運」を意味します。したがって、この瓶は幸福と繁栄を象徴する意図が込められています。
- 装飾:
- 色彩と模様: この瓶の表面には掐絲技法を用いたエナメルが施されており、豊かな色合いと精緻な模様が特徴です。乾隆時代の琺琅は、明るい色彩と複雑な模様が特徴で、特に花卉や雲紋、龍紋などの装飾が見られます。
- 細部: 掐絲琺琅の技法により、模様の境界線が金属の銅線で明確に分かれており、エナメルの発色と輝きが際立っています。
- 用途と象徴性:
- 装飾品としての使用: このような掐絲琺琅の瓶は、主に装飾品として使用され、儀式や贈答品、コレクションアイテムとして高い価値が置かれました。
- 象徴的意味: ひょうたん型の瓶は、古代中国では幸運や繁栄の象徴とされ、特に「大吉」の字がついたものは、さらに強い意味を持ちます。
技術と歴史的背景
掐絲琺琅技法は、15世紀ごろに中国で発展し、特に清朝の乾隆時代にその技術が大いに発展しました。この技法は、西洋のエナメル技術の影響を受けつつ、中国独自の美意識とデザインに結びつきました。乾隆時代は、特に工芸品の生産が盛んだった時代で、掐絲琺琅の技術とデザインが最高潮に達した時期でもあります。
まとめ
「掐絲琺琅大吉葫蘆瓶」は、乾隆時代の清朝の技術と美意識を反映した装飾品で、掐絲琺琅技法によって美しく彩られています。その形状や装飾は、幸福と繁栄を象徴し、中国の工芸技術の頂点を示す作品です。
画像出所:メトロポリタン美術館
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