【掐絲琺瑯仿古方尊　Vase in the form of an archaic wine vessel (fangzun)】中国‐晚明時代‐清代初期

「掐絲琺瑯仿古方尊」は、中国の晚明時代（1368年から1644年）から清代初期（1644年から1911年）にかけての作品で、17世紀に制作されました。以下に詳細な説明をします。

時代と文化: この作品は晚明時代から清代初期の作品であり、中国の歴史的な変遷期に制作された琺瑯（cloisonné）器です。この時期は中国の芸術と文化が多様な影響を受け、芸術作品も多様なスタイルやテクニックで制作されました。
素材と技法: 琺瑯は金属（通常は銅）に仕切り線で区切りを作り、その間に粉末状のガラス釉薬を詰めて焼き付け、模様や図柄を表現する技法です。掐絲（ダセン）技法は、細い仕切り線で釉薬を区切り、豊かな色彩と精緻な装飾を実現します。
形状と寸法: この仿古方尊の高さは約54 cm、幅は約34.9 cm、奥行きは約34.3 cmです。方尊（ほうそん）とは四角い形状の酒器であり、古代の青銅器や陶器を模したデザインが特徴です。大きなサイズであり、その立派な装飾は広い空間で存在感を示します。
装飾: 仿古方尊の装飾は、古代の青銅器のデザインを模倣しています。琺瑯の表面には複雑な模様や吉祥文様が施され、龍や鳳凰、雲、花卉などが描かれることがあります。これらの装飾は、貴族や宮廷での使用を意識して制作されたもので、その豪華さと芸術性が際立ちます。
保存と評価: 仿古方尊は、その古代風のデザインと清代の精緻な琺瑯技術によって、美術市場で高く評価されています。中国の芸術史の中で重要な位置を占め、美術館やコレクターのコレクションで見ることができる貴重な作品です。

「掐絲琺瑯仿古方尊」は、その歴史的な背景と技術的な洗練さから、中国の芸術と文化の多様性を示す重要な作品として位置付けられています。明末期には、古代青銅器をベースにした形状や模様が広く使用されましたが、琺瑯はこれらの作品に前例のない色彩効果をもたらしました。