「掐絲琺瑯雜宝紋碗」は、中国明代(1368年から1644年)に作られた琺瑯器であり、以下にその詳細な説明をします。
- 時代と文化: この碗は中国明代に制作された作品であり、明代は中国の歴史の中で文化と芸術が隆盛を極めた時期です。明代の琺瑯器は、その精緻な技術と多彩な色使いで知られています。
- 素材と技法: 琺瑯は、金属(通常は銅)の表面に仕切り線で区切りを作り、その間に粉末状のガラス釉薬を詰めて焼き付け、模様や図柄を表現する技法です。掐絲(ダセン)技法は、仕切り線で釉薬を区切る手法で、複雑な装飾を施すことができます。
- 形状と寸法: この碗の高さは約12.7 cm、口径(リムの直径)は約26.7 cm、足の直径は約15.2 cmです。口径が広く、深い容器として設計されており、多くの内容物を収容できるようになっています。
- 装飾: 「雑宝紋」(zabao wen)という装飾は、多彩な宝石や宝飾品をかたどった模様を指します。明代の琺瑯器には、多様な宝石の模様が見られ、豪華な印象を与えます。色彩は鮮やかであり、赤、青、緑、黄などの明るい色が用いられています。
- 保存と評価: 明代の琺瑯器は、その美しい装飾と繊細な技術から、美術品市場で高く評価されています。特に「雑宝紋」の碗は、その豪華なデザインと明代の文化的な背景を象徴する重要な作品として、美術館やコレクターの間で人気があります。
「掐絲琺瑯雜宝紋碗」は、明代の琺瑯器の典型的な例であり、その豊かな装飾と技術的な洗練さが見事に表れた作品です。この碗は、仏教と道教のシンボルを組み合わせた珍しい構成を持っています。蓮の巻物の中に配置された吉祥文様には、八宝(仏教の象徴)だけでなく、三峰、卍(永遠を象徴する)、宝塔、犀角などの様々な象徴も含まれています。内部の中心にある円形の紋章は、太極図(または陰陽)、中国哲学における宇宙の主要な力の象徴です。
画像出所:メトロポリタン美術館
コメント
トラックバックは利用できません。
コメント (0)
この記事へのコメントはありません。