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【水滴 Water dropper】中国-金代
- 2024/6/10
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この「水滴」は、金代(1115–1234年)に制作されたもので、12世紀から13世紀にかけて中国で作られたものです。素材は石器で、鈞窯のスプラッシュブルーの釉薬が施されています。高さ16.8 cm、直径24.1 cmという寸法から、存在感のある大きさであることがわかります。
金代は中国北部を支配した遊牧民族の王朝で、この時代は文化と芸術が大いに発展しました。特に陶磁器の制作技術が大きく進歩した時期でもあります。鈞窯は中国の著名な窯の一つで、青や紫の釉薬で知られ、その作品は美しい釉薬の色合いや独特の模様で高く評価されています。スプラッシュブルーの釉薬は、青い色が水のように滴り落ちる様子を模したもので、その斑点や流れ方が非常に特徴的です。
この水滴は、実際に水を滴らせるための道具としてではなく、美術品としての価値が高いものです。その形状は滑らかで、バランスの取れたデザインが特徴であり、見る者に強い印象を与えます。水滴は書道や絵画などの芸術活動において、墨を磨るために適量の水を滴らせる道具として使用されていました。金代の文化的背景を考えると、このような道具は高級な書道具として重宝されていた可能性があります。
この水滴は、金代の中国における高度な陶磁器制作技術と美的感覚を反映した逸品です。鈞窯のスプラッシュブルーの釉薬は、その時代の技術と美意識を象徴しており、その実用性と芸術性を兼ね備えたデザインは、当時の文化的背景を理解する上で重要な手がかりとなります。このような作品は歴史的価値が高く、美術史の研究や鑑賞において重要な役割を果たしています。
画像出所:メトロポリタン美術館
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