この「兜(サレット)」は、おそらく15世紀後半から16世紀初頭にかけて製作されたもので、グラナダで制作された可能性があります。この兜は、スペインの文化に根ざした装備であり、鋼鉄や鉄、金、銀、クロゾネ釉薄手、皮革、織物など、さまざまな素材が使用されています。
兜の寸法は高さ約20センチメートル、幅約20.6センチメートル、奥行き約26.7センチメートルで、重さは約1702グラムです。
この兜は、高度な技術と装飾が施されており、その表面には金や銀、クロゾネ釉薄手などの豪華な装飾が施されています。これらの装飾は、当時のスペインの騎士階級の儀礼用装備としての役割を強調し、その所有者の地位や富を示すために用いられました。
この兜は、当時のスペインの武器や装備の美学を反映しており、高貴な騎士のイメージを持つ人々にとって重要な存在であったことでしょう。
この兜は、スペインのナスリ朝時代(1230年から1492年)全体で現存する唯一の鎧の例です。伝統的には、これはスペインにおけるナスリ朝最後の王、アブド・アブド・アッラー・ムハンマド(西洋ではボアビルとして知られる)の所有物だったと言われています。彼はスペインによって再征服される前のナスリ朝グラナダの最後の王で、在位期間は1482年から1483年、1487年から1492年です。
この兜は、15世紀後半の典型的なスペインのサレットの形をしており、目の上に切り抜かれた部分はイスラムの例に着想を得ています。しかし、その装飾は非常に豊かで特徴的です。鋼鉄は金箔で全体的に覆われており、幾何学的なデザインや葉の模様で細かく彫り込まれています。縁は銀でトリミングされています。繊細なクロゾネ釉薄手は、ナスリ朝の宝飾品を彷彿させる装飾で、この兜を非常に珍しく、質の高い、美しいものにしています。
画像出所:メトロポリタン美術館
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