「牙鈕鐵鋸金文殊真言印」は、中国の明代(1368年–1644年)の初期、15世紀初頭に作られた作品です。この印は、象牙、ターコイズ、金で鍍金された鉄で作られており、高さ約2インチ(約5.1センチメートル)、幅約1 1/8インチ(約2.9センチメートル)です。
この印は、中国の仏教文化に深く根ざしたものであり、真言(マントラ)である「文殊真言」が彫られています。文殊菩薩は、知恵や学問の神であり、仏教の中で高い尊敬を受ける存在です。印は、そのような神聖な存在に敬意を表すために作られ、信仰や宗教儀式に使用されました。
この印の素材や装飾は、その高貴さと美しさを示しています。象牙は、その貴重な素材と洗練された彫刻技術で知られており、ターコイズや金の装飾は、印の美的な価値を高めています。また、鉄に金を鍍金する技法であるダマスキング(Damascening)は、その精巧さと技術の高さを示しています。
「牙鈕鐵鋸金文殊真言印」は、その芸術性や宗教的な意味から、美術品や宗教アーティファクトのコレクターや愛好家にとって魅力的な作品です。その豪華な装飾と歴史的な背景は、中国の宗教と文化の豊かな遺産を反映しています。この印章の底部に刻まれた六つの文字「aa-ra-pa-tza-na-dhi」は、知恵の菩薩である文殊菩薩の真言です。ヴァルトゥ文字で書かれており、これは11世紀以降、チベットの僧侶たちによって儀式用に作られた書道的なサンスクリットから派生したものです。
画像出所:メトロポリタン美術館
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