【参勤交代図 Daimyo Procession to Edo】日本‐江戸時代‐菱川派
菱川派の「参勤交代図」は、江戸時代に活躍した日本の菱川派による作品です。この作品は、参勤交代と呼ばれる大名や役人が将軍の下での仕事と自分の領地を行き来する制度を描いたものです。手巻きの巻物に描かれたこの作品は、絹に墨、色彩、金を使って表現されています。その細部にわたる描写と、華やかな色彩、金箔を用いた装飾は、当時の社会の様子や風景を詳細に伝えています。江戸時代の日本社会や歴史を垣間見ることができる貴重な作品として評価されています。
この贅沢な手巻き絹画は、大名(封建的な首長)とその従者たちが故郷から江戸(現在の東京)へ向かう壮大な行列の華やかさを描き出しています。江戸時代において、大名は年に二度、江戸に向かい、17世紀初頭以来徳川幕府が拠点としていたそこでの居住を義務付けられていました。それが「参勤交代」と呼ばれる制度です。数百人の従者たちが、武器や儀礼用品、大名の軍事力や財力を物語る私物を運んでいます。馬に乗る者もいれば、大名やその家族の一部はかごや輿に乗っています。
大抵の大名行列の描写とは対照的に、この巻物は感動的な場面から始まります。それは、母親が赤ん坊を育て、成人した男性、幼い男の子、そして二人の十代の少年が描かれた武士の家族の場面です。おそらく、大名が江戸へ旅立つ際に家族を置いて行かなければならない様子を表現しているのでしょう。このジャンルの場面を描いたスタイルから、この巻物は菱川師宣の工房で制作されたものと考えられています。師宣は浮世絵として知られる絵画と版画のカテゴリーを先駆けたことで名高いです。さらに、巻物の中間部には、精巧に鞍付けされた馬に乗る四人の若衆がおり、それを馬丁が世話しています。おそらく、これは大名のお気に入りの従者たちでしょう。武士階級と若衆の間の同性愛関係は記録されていますが、このような公式の作品でそれが暗示されているのは珍しいことです。そのため、この作品は師宣の流れをくむ画家によるものとされています。
画像出所:メトロポリタン美術館
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