【潇湘八景図巻 Eight Views of the Xiao and Xiang Rivers】江戸時代‐狩野常信(Kano Tsunenobu)
「潇湘八景図巻」は、江戸時代の日本の画家、狩野常信によって制作された絵巻物です。この絵巻物は、中国の文人画にインスパイアを受けて制作され、潇湘と呼ばれる中国の地域における美しい風景を描いています。絵巻物は八つの異なる風景を収めており、各風景が別々のセクションで表現されています。
狩野常信は、江戸時代の日本で活躍した狩野派の画家で、中国の文人画の要素を取り入れて日本の伝統的な絵画スタイルと融合させました。この絵巻物は、中国の山水画や詩情画の影響を受けながらも、日本独自のアプローチで表現されています。
「潇湘八景図巻」は、風景や自然の美しさに焦点を当てた作品であり、中国の詩情画や山水画の伝統に倣いながらも、日本独自の美的視点で描かれています。この絵巻物は、江戸時代の日本の美術と文化における中国の影響と、その影響を取り入れた日本独自の芸術表現を示す貴重な作品の一つです。
この作品は、南中国の2つの川が合流する地域の風景を称賛する「小湘八景」のテーマに基づいており、このテーマは11世紀の中国で絵画と詩の中で現れました。13世紀のモノクロの水墨画が、14世紀には日本のコレクションにも収められ、このテーマはその後500年にわたり、日本で重要な絵画のテーマとして受け継がれました。このテーマを扱った狩野常信による作品は、影鬼典蔵流の2代目であり、影鬼典蔵流は影鬼家の重要な支流である狩野家の一派です。
この作品は、季節ごとに移り変わる風景を描いており、最初の場面は早春の「霧晴の山市」で、村の門のそばに梅の木が咲いています。その後、季節に合わせて「霧中寺の晩鐘」、「遠津返しの帆」、「洞庭の秋月」、「小湘の夜雨」、「漁村の夕照」、「砂浜に鴻が下る」などの場面が続きます。絵巻物は、贅沢な田園地帯の庭に雪に覆われたパビリオンや木々、遠くの雪山に滝が落ちる「夕雪の川と空」で終わります。
この作品は、季節の移り変わりや風景の美しさを称賛するテーマを通じて、風景画の伝統における重要な作品であり、日本の美的な視点と風景の愛で方を示しています。
画像出所:メトロポリタン美術館
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