ジョヴァンニ・ディ・パオロ・ディ・グラツィア（Giovanni di Paolo）は、イタリアのルネサンス期の画家で、1445年に制作された絵画「世界の創造と楽園からの追放」（The Creation of the World and the Expulsion from Paradise）は、その代表作の一つです。

この絵画は、キリスト教の聖書の創世記に基づいて制作された作品で、アダムとイヴの楽園での生活からの追放を描いています。絵画の中心には、神が世界を創造する場面が描かれており、神の創造力と神秘的な要素が表現されています。その後、絵画の下部にはアダムとイヴが楽園から追い出される場面が描かれており、彼らの罪によって楽園を失った瞬間が描かれています。

ジョヴァンニ・ディ・パオロはこの絵画で、宗教的なテーマと精巧な描写を組み合わせ、ルネサンス期の芸術の特徴を示しています。この絵画は、当時の宗教的な信念と神話の物語を表現するために制作され、その美しさと宗教的な深みにより、多くの人々に称賛されました。

このシエナ派絵画の傑作は、ジョヴァンニ・ディ・パオロ（Giovanni di Paolo）の優れた幻想的効果と物語の詳細を組み合わせたものです。この絵画は、偉大なフィレンツェの詩人ダンテが「神曲」で描いた楽園のビジョンに似たものを提示しています。宇宙は、地球が中心にあり、まず最初に四大元素、その後は中世とルネサンスの宇宙論に従って太陽を含む既知の惑星、最後に黄道十二宮を表す一連の同心円で囲まれた、天体の地球儀として描かれています。創造の場面を主宰するのは、セラフィムによって高く運ばれ、輝く天体の光に包まれた神の父です。 「世界の地図」の横には、楽園の庭があり、その庭から流れ出る四つの川が右下から現れています。庭の輝かしい植物は、堕落する前の人間の純粋で罪のない状態を象徴しています。小さなアダムとイヴは、堕落後の人類の堕落した状態に対する深い思いやりを象徴する、柔らかく裸の天使によって楽園から追放されています。

このパネルはもともとジョヴァンニ・ディ・パオロの「グエルフィ祭壇画」（Guelfi Altarpiece）の一部で、かつてはサン・ドメニコ教会（現在はウフィツィ美術館、フィレンツェ）に所在していました。もともとは楽園の表現と結びついていましたが、今はメトロポリタン美術館に所在しています（06.1046）。祭壇画の再構築については、次のリンクを参照してください：リンク（追加画像）。

画像出所：メトロポリタン美術館