エル・グレコ（El Greco）の「カーディナル・フェルナンド・ニーニョ・デ・ゲバラ（1541年–1609年）」は、1600年に制作された絵画です。この作品は、カーディナル・フェルナンド・ニーニョ・デ・ゲバラというスペインの聖職者および枢機卿（Cardinal）の肖像画です。

カーディナル・フェルナンド・ニーニョ・デ・ゲバラは、16世紀から17世紀にかけて活動したスペインの高位聖職者で、その時代のスペインの政治と教会において重要な役割を果たしました。この肖像画は、彼の格式ある地位と権力を称賛的に表現しており、エル・グレコは彼の姿勢と風貌を巧みに捉えました。

エル・グレコのこの作品は、彼の特徴的なスタイルである長身の人物像、鮮やかな色彩、劇的な照明効果が特徴です。彼の絵画はしばしば宗教的要素と芸術的な革新が結びついたものであり、カーディナル・フェルナンド・ニーニョ・デ・ゲバラの肖像もその一例です。

この絵画は現在、スペインのトレドにあるエル・グレコ美術館（Museo del Greco）などで鑑賞することができ、エル・グレコの芸術的遺産の一部として高く評価されています。

この力強い肖像画は、フェルナンド・ニーニョ・デ・ゲバラ（1541年–1609年）を描写しており、彼は1596年に枢機卿に任命され、この絵画ではそのような身分で描かれています。彼は1599年にスペインの異端審問の最高責任者である異端審問大臣に任命されましたが、1602年に辞任し、その後は生涯をセビリア大司教として過ごしました。この絵画はおそらく、カーディナルがトレドに滞在していた1600年春に制作されたもので、当時フェリペ3世およびマドリード宮廷のメンバーとともにトレドにいたことからも推測されています。エル・グレコは以前、ヴェネツィアとファルネーゼ宮殿（Farnese Palace）でローマに住んでおり、ティツィアーノの肖像画（ファルネーゼの教皇パウルス3世など）などが、このギリシャ人画家に肖像画の心理的な可能性を示したでしょう。

画像出所：メトロポリタン美術館