奥村政信(Okumura Masanobu、1686年-1764年)は、江戸時代に活躍した日本の浮世絵師で、特に浮世絵の初期における重要な画家の一人とされています。彼は浮世絵の発展に貢献し、その作品はその時代の文化や風俗を表現したものとして評価されています。
「見立『平家物語』 紅葉焚図」(けんだて『へいけものがたり』もみじたきず)は、奥村政信による作品の一つで、平家物語のエピソードを題材にした見立て浮世絵の一例です。見立て浮世絵は、異なる場面や要素を一つの画面に組み合わせて表現し、観客に楽しんでもらうための工夫が凝らされた作品です。
「紅葉焚図」の場面は、平家物語の中で平家一門の滅亡が描かれるエピソードで、紅葉の木を焚いて自刃する様子が描かれている可能性が高いです。この作品は、奥村政信の芸術的な技巧や色彩の魅力を示すものとして評価されており、江戸時代の浮世絵の美しさと情熱を伝えるものとされています。
奥村政信は浮世絵の先駆者の一人であり、彼の作品は当時の日本社会や文化についての貴重な資料としても見られています。彼の作品は現代においても美術愛好家や歴史研究者によって高く評価され、多くの美術館やコレクションに収蔵されています。
「平家物語」の一場面では、高倉天皇が紅葉の葉を掃いて酒を温めるための火を作っている召使たちに偶然出くわします。天皇は、彼らが唐の詩人白居易(Bo Juyi)の詩に言及したような場面であるかのように感じ、そのことについて言及します。このエピソードのパロディでは、召使の一人が三味線(shamisen、三味線は17世紀まで日本で使われていなかった楽器)を弾いています。この楽器は時代考証的には不正確です。
また、この場面の横に、おそらく画家自身の作成であるであろう俳句(季節感を表現する17音の詩)が追加されています。
要するに、この絵画は「平家物語」のエピソードをパロディ化したものであり、歴史的な時代考証を無視して、面白みや芸術的な表現を重視しています。このようなアート作品は、当時の文化や風俗を楽しむために制作され、時代の特定の要素を風刺したり、楽しませたりすることが目的でした。
画像出所:メトロポリタン美術館
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