鎌倉時代に、菅原光重(すがわらみつしげ)によって書かれたとされる手巻物です。この作品は『妙法蓮華経』の一部である「観世音菩薩普門品(かんぜおんぼさつふもんぴん)」を扱っており、紙に墨、色彩、金箔を使用したものです。
「観世音菩薩普門品」は『妙法蓮華経』の第25章であり、観音菩薩(サンスクリット名:アヴァローキテーシュヴァラ)の教えと普門の大悲を称える章です。この手巻物では、銅版本としても知られる宋版『法華経』の「観世音菩薩普門品」のテキストと、それに伴う画像が描かれています。
菅原光重は、この作品を書いたとされる書家で、鎌倉時代に活動した人物です。彼の筆によって書かれた作品は、日本の書道史において高く評価されています。この手巻物では、彼の筆致による書法と、絵画と文字の組み合わせが見られます。
彼の書いた手巻物は、観音菩薩の慈悲と普門の教えを称賛し、仏教の信仰と美的要素を結びつけたものです。このような作品は、当時の宗教的な風習と美意識を伝える重要な文化遺産とされています。
メトロポリタン美術館の仏教絵画コレクションの名作の一つであるこの手巻は、『法華経』の第25章である「観世音菩薩普門品」の画かれた最古のバージョンであり、この章は「観世音菩薩の菩薩普門品」として知られています。経文と共に、34のカラフルな画像が挿入されており、これらは観音菩薩の慈悲深い行為を称賛しています(サンスクリット名:アヴァローキテーシュヴァラ)。
銘文によれば、この作品は1208年の中国の木版印刷本をモデルにしており、その元になったのは以前に描かれた手巻です。無名の画家は、特に風景において、中国の原作を日本独自の「大和絵」(日本の伝統的な絵画様式)の要素を取り入れることで、中国のオリジナルを変化させました。
画像出所:メトロポリタン美術館
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