【ナーガドのガルダ－カンボジア、バプーオン入口と象のテラス－アンコール時代】常設展－東京国立博物館

カンボジアのアンコール遺跡群には、バプーオン入口（Baphuon）と象のテラス（Terrace of the Elephants）という2つの重要な建造物が存在します。これらの建物には、アンコール時代のガルダ（Garuda）と呼ばれる生物の彫刻が見られます。
ガルダは、ヒンドゥー教と仏教の両方で重要な存在であり、神聖な鳥として崇拝されています。ガルダは、鷲の頭と人間のからだを持つ存在として表現され、神聖な力と威厳を象徴します。
バプーオン入口には、アンコール時代のバプーオン寺院の入口に位置するガルダの彫刻があります。これらの彫刻は、巨大な鷲の頭を持つ人間の体を持ったガルダの姿が描かれています。彫刻は非常に精巧で、その細部まで緻密に彫り込まれています。
一方、象のテラスはアンコール遺跡群内の王宮跡の一部であり、アンコール・トム（Angkor Thom）と呼ばれる王都の中心部に位置しています。象のテラスは、アンコール時代の王権の象徴として機能していました。テラスの壁面には、バスレリーフ（浅浮き彫り）としてガルダの彫刻が施されています。これらの彫刻は、ガルダが行進し、戦い、神聖な儀式を行う様子を描いています。
これらのバプーオン入口と象のテラスにおけるガルダの彫刻は、アンコール時代の芸術の傑作とされています。ガルダは、宗教的な信仰や王権の象徴として重要な役割を果たしており、アンコール時代の芸術と文化の重要な要素となっています。
鷲の頭に人間のからだを持つガルダは、ヒンドゥー教のヴィシュヌ神の乗り物です。蛇族ナーガと敵対するため、蛇をくわえる場面を表現したものもあります。この巨大なガルダは蛇をかたどったナーガ式欄干の先頭を飾っていたものでしょう。