あらかじめ染め分けた多色の緯糸を織り込み、文様を表したイカット(緯絣) です。複雑かつ抽象的な文様は草花文とも、双翼のガルーダとも指摘されています。スマトラ島では、類似する文様のイカットに金糸を織り込んだ作品も製作されています。
インドネシア・スマトラ島のパレンバン地域において、19世紀に流行したのは、緯絣(たてぬき)と呼ばれる絹のショールで、特に赤地に花文様が織り込まれた緯絣が知られています。
緯絣は、縦糸に模様を織り込む技法で、絹などの高級な繊維を用いて作られます。緯絣によって生み出される模様は、独特で美しいデザインが特徴であり、絹ならではの滑らかで光沢のある質感を持ちます。絹は柔らかく、上質な素材として、特に贅沢な衣料品や装飾品に用いられます。
赤地に花文様が織り込まれた緯絣は、パレンバン地域で特に重要な装飾的な布地として人々に愛されました。赤色はインドネシア文化において繁栄や幸福を象徴する色として重要視されており、特に特別な行事や祝祭の際に使用されることが多い色です。花文様は地域の自然や花々をモチーフにしたデザインで、自然との調和や美を表現します。
パレンバン地域の緯絣は、伝統的な技法とデザインが組み合わさった美しい芸術品として評価されています。これらのショールは、特別な行事や重要な儀式の際に身に着けられるほか、贈り物やお土産としても人気があります。
現代でも、パレンバン地域の伝統的な工芸品として緯絣が作られています。地域の文化遺産を受け継ぐ大切な作品であり、地元の工芸家たちによって手作業で制作されています。また、緯絣は国内外で高く評価され、インドネシアの芸術として世界中に知られるようになりました。
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