【鬼桶水指 Pail‑shaped freshwater jar (Onioke mizusashi)】室町時代

  • 2023/9/1
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【鬼桶水指 Pail‑shaped freshwater jar (Onioke mizusashi)】室町時代

室町時代に作られた「鬼桶水指」は、信楽焼として知られる天然灰釉(しがらきやき)の焼き物です。

この水指は、茶道の文化が発展する中で茶人たちによって使用された茶器の一つで、室町時代の日本で広く愛用されました。鬼桶(おにおけ)という名前の通り、その形状やデザインは鬼の桶を想起させるものとされています。鬼桶としての特徴的な形状に加えて、信楽焼特有の自然灰釉が施されており、焼成過程で木灰が陶器に溶けてできる釉薬が、器の表面に特有の模様や色合いを生み出します。

信楽焼の特徴としては、焼成時の窯の中で発生する木灰や火炎の影響を受けて、不均一な釉薬の表現が現れることが挙げられます。これによって、焼き物の表面には絶妙な模様や色合いが生まれ、個々の作品ごとに異なる美しさが楽しめます。

「鬼桶水指」は、室町時代の茶の湯の文化や美意識を反映しており、その独特のデザインと信楽焼の特有の釉薬が、茶道の世界における重要な存在となっています。

16世紀に日本式の茶道文化(和風茶道)の基盤が形成された時、茶人の竹野常樹(たけのじょうじゅ)は、質素で粗野な信楽焼を茶室で使用し始めました。彼が淡水の入れ物として採用した器の一つは、鬼桶(おにおけ)として知られる信楽の容器で、近江地方で麻やらみの茎を糸に加工するために使用されたものとされています。信楽の粘土は釉薬をかけずに焼かれると、黄金色から赤褐色までの範囲の色合いになり、淡褐色の表面には白い長石の粒が点在しています。木材焼成中に木灰が陶器に溶けて不均一な青緑の釉薬が発生することもありました。西洋の陶工、例えばポール・チャリフ(Paul Chaleff)のような人々は、木材焼成の窯の見かけ上のランダムな効果に触発されました。

画像出所:メトロポリタン美術館

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