【錫杖 Finial of a Buddhist Monk’s Staff (Shakujō)】江戸時代

【錫杖 Finial of a Buddhist Monk’s Staff (Shakujō)】江戸時代

江戸時代の錫杖(すずつえ)は、日本の宗教美術や文化において使用された道具で、一般的には仏教の修行者や僧侶が持つ杖です。錫は軽くて丈夫な素材であり、杖の先端に鈴をつけることで歩く音が聞こえ、周囲の生き物を驚かせずに接近することができるため、修行者や僧侶にとって便利な道具でした。

錫杖は通常、細くて直線的なデザインで、手に持ちやすいように細工されていました。錫は錆びにくく、腐食しにくい特性があり、またその輝きから美しい装飾品としても用いられました。仏教の宗教行為や仏教寺院での日常的な活動で使用される道具として、錫杖は重要な役割を果たしました。

錫杖は、仏教の教えを実践する者が行う歩行修行(きんぎょう)の際に使用されることもありました。歩行修行は、一定のルートを歩きながら瞑想や念仏を行う修行法で、錫杖を用いて歩くことで、足音と共に心を集中させることができました。

江戸時代の錫杖は、日本の宗教的な活動や修行、仏教の伝統と美意識を表現するための道具として重要であり、その存在は日本の歴史的な文化遺産の一部となっています。

地蔵菩薩(じぞうぼさつ)は通常、優しく少年のような僧侶として描かれ、左手に願いをかなえる宝珠(まに)を持ち、右手には六つの鈴がついた僧侶の杖(しゃくじょう)を持っています。この杖は、地蔵菩薩が困っている生き物を助けるために旅することを示すもので、物乞いの僧侶は沈黙のルールを守っていました。彼らはこの杖を持って近づくことで自分の存在を知らせ、虫や動物を追い払い、彼らが誤って踏んでしまうことを防ぎました。六つの鈴は、地蔵菩薩が活動する六道輪廻と、涅槃に導く六波羅蜜(じくろうみつ)を象徴しています。六波羅蜜には、布施(ふせ)・戒(かい)・忍辱(にんにく)・精進(しょうじん)・禅定(ぜんじょう)・智慧(ちえ)が含まれます。

この杖の頂部には、厳島の聖なる山にある神社や寺院への奉納を記念する銘文が刻まれています。この杖は、20世紀初頭からこの像と一緒に展示されてきました。

【錫杖 Finial of a Buddhist Monk’s Staff (Shakujō)】江戸時代
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画像出所:メトロポリタン美術館

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