【蝉の形をした竹の茶杓 Bamboo tea scoop in the shape of a cicada】明治時代‐初代早川尚古斎

【蝉の形をした竹の茶杓 Bamboo tea scoop in the shape of a cicada】明治時代‐初代早川尚古斎

明治時代の日本において、初代早川尚古斎(Haya Ikkan)によって制作された「蝉の形をした竹の茶杓」は、茶道の儀式に使用される茶杓の一種で、その名の通り蝉の形を模したデザインが特徴です。

茶道では、茶杓(ちゃしゃく)は茶葉を取り分けたり、茶碗に湯を注いだりする際に使用され、茶道具の中でも重要な役割を果たします。茶杓は美術品としての価値も高く、そのデザインや材料は茶道の流派や時代によって異なります。

この「蝉の形をした竹の茶杓」は、蝉の形状を取り入れたユニークなデザインを持っており、茶道の儀式においては、その美しさや独自性が評価されました。また、初代早川尚古斎による制作ということで、その作者に対する評価も高いでしょう。茶道の文化において、茶杓やその他の茶道具は、芸術と実用性が結びついた重要な要素となっています。

この署名入りの竹製茶杓は、早川尚古斎I(Hayakawa Shōkosai I)によって製作され、煎茶(sencha)のために使用されました。1891年に制作され、尚古斎によって76歳で署名されています。茶杓(charyo)は、大きな茶壺から茶葉を取り出し、分量を測り、小さな陶器の急須に茶葉を入れるのに使用されます。ほとんどの茶杓は竹で作られていますが、木材、象牙、または半貴石で作られることもあります。ほとんどの茶杓はシンプルな半円筒形をしていますが、尚古斎は茶杓を蝉を表現した小さな「彫刻」に遊び心をこめました。古代中国では、削られた翡翠の蝉が死者の舌に置かれ、超越と永遠の命を想起させました。日本では、蝉は長寿を象徴し、夏と関連付けられています。

茶道の一形態である煎茶では、高品質の散茶(通常は最も高価な玉露)を低温で浸漬するスタイルが使用されます。このスタイルは中国明代(1368年–1644年)に普及しました。茶は小さな中国風のポットで提供され、一連の小さなカップとトレイを使用しています。煎茶の茶道は、禅宗の大権派(Ōbaku)の創設者である隠元隆琦(Yinyuan Longqi、1592–1673)と、京都の茶商で初代の煎茶の師となった大権僧の梅窓(Baisao、1675–1763)によって日本に導入されました。中国文化の研究と解釈は、特に京都大阪地域で非常に人気があり、そのため、竹細工を含む優れた唐物(中国風)の対象に対する関心が再燃しました。尚古斎Iは関西を拠点とし、主に茶道具の制作に専念し、その時代の繁盛した煎茶文化のニーズを反映しています。尚古斎Iは、彼の制作物に名前を署名したと信じられており、かご職人の中で最初に名前を作品に記したとされています。

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画像出所:メトロポリタン美術館

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